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社会資源の充実に一石を
PCMの向こう側に

プリベンションケースマネージャー・PHA 岡部翔太 

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このプロジェクトを通して見えてきたもの、これからやらなければならないこと。はたしてそれは何なのか…。

 今回は、CDCのソースからテキストを起こすところから関わらせていただいた。英語なんてろくに分かりもしない岡部にやらせるなんて、世も末である。エイズ業界、よっぽど人不足なのね。
 さて、PCMとはいったいどれほど有効的なサービスかということについては、他の方々が書いていると思うので、視点を変えて、僕が感じた?の部分を書いてみたいと思う。その一つが「アクセス」である。PCMは一回限りのものではなく、期間を決めた複数回のセッションによって行われ、社会資源を紹介しながらクライアントの行動変容を促すサービスである。地方など、病院に通うのにも電車を乗り継いでいったり、また、社会資源が整っていないようなところで行うのは容易ではないであろう。そういう意味では今はまだ、PCMは「都市型のサービス」を脱していないと思う。
 また、「都市型のサービス」といっても、東京や大阪など交通の便も良く、NGO団体の数もそこそこ揃っているようなところでも、提供されるサービスの貧弱さは否めないのが現実であろう。故に、クライアントに安心して紹介できないという問題がでてくる。
 エイズ業界に限ったことではないが、トピックスがあるとその話題に右習えになる傾向があるように感じる。少し前は「服薬援助」、今はさしずめ「予防」でしょうか? それはそれで構わないが、じゃあ、あなた達の提供できるものって何なのといえば、情報提供? バディ? 年に数回やる勉強会やイベント? 確かに、そういう社会資源も大切なサービスの一つであるが、逆に言うとクライアントに提供できるサービスもその程度のものということである。
 PCMのアプローチは、既存の社会資源の一つに加わることができれば、サービスの幅が広がることになるだろう。PCMをきっかけに社会資源の充実に一石を投じられるきっかけになればと思う。本当は社会資源がすでに揃っていて、PCMが行われる方がスムーズにアクセスできるのだが…。
 で、岡部のPCMの向こうに見えたもの…。それはまたの機会にというこで。

[岡部翔太]

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