症例から学ぶHIV感染症診療のコツ-JAPANESE- / 08
2000.11.30

jap0008

 
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スライド8,9,10

 症例3は自覚的にも身体所見も検査所見も問題の無いCD4が362、ウイルス量が3万強の症例です。比較的ポピュラーな組み合わせの一つであるAZT/3TC/NFVが開始されますがAZTによる悪心、NFVによる下痢のためにd4T/3TC/NFV+下痢止めの処方に変更されます。これによりウイルス量は減少、一時は検出限界以下にまでなりますが、再びウイルス量が増加しはじめます。この時点ではCD4はまだ十分保たれていますがここで何を行うかがスライド9の問題です。クリツケス先生が耐性検査の専門家でもあり、ある程度「正解」は予想できた質問ではありますが大多数の方(71%)が「耐性検査をする」というオプションを選択されました。一部(18%)の方は同じ処方の継続を選択されましたが、これに対してはクリツケス先生は以下の理由で反対をされました。

#1:一度は比較的速やかにウイルス量を検出限界以下にできたので良い処方を組み直せば再びウイルス量を検出限界以下に落とせる可能性が高い。
#2:ウイルス量が再上昇を始めてから間もない事であり耐性変異の数も少ないうちにこそ処方の変更を行うべきである。