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参加者同士の分野を越えての交流
第14回日本エイズ学会レポート


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京都テルサ 99年の東京(北区王子)に続き、第14回日本エイズ学会が京都(京都テルサ:京都市南区)で開かれた。会期は00年11月28日〜30日と、去年と同じ3日間だった。
 今回の学会は専門分野を越える「対話」の場となることを目指し、[1]一般演題と並んでワークショップを重視、[2]全ての一般演題の発表を口頭とポスターの両方で実施、[3]交流会(Get-together)の開催という3つの工夫がなされた。
 なお、第15回日本エイズ学会(会長 東京大学大学院医学系研究科感染制御学感染症内科 木村哲教授)は01年11月29日〜12月1日に東京(北とぴあ:北区王子)で、第16回日本エイズ学会(会長 名古屋市立大学医学部分子医学研究所分子遺伝部門 岡本尚教授)は02年11月28日〜30日に名古屋(名古屋国際会議場)で開催される。

 ■専門分野以外の学習に役立っている多様性
 エイズ学会にはいくつかの特徴があるが、一つは「多方面にわたる参加者」がある。
 HIV診療は早くから「チーム医療」の重要性が指摘されてきた分野であるが、それを実証するかのように学会への参加者も多様である。医師、基礎研究者はもちろんのこと、看護職、薬剤師、カウンセラー、メディカルソーシャルワーカー、NGO関係者、行政、マスコミ、教育等々、HIVを軸に実に多方面の関係者が集まっている。従って、セッションの内容も多様である。これは、自分の専門分野以外の学習に非常に役立つシステムである。カウンセリングにおける倫理的諸問題のセッションで、なかなか自分のパートナーに感染の事実を打ち明けられない患者に対し、医師としてどうアプローチすべきなのか、会場にいるカウンセラーや弁護士に質問する医師や、薬剤師による服薬援助のセッションで実際に服薬援助に関わる看護職からの発言が見られたりといったように、クロスセクショナルな交流が随所で行われているのが大きな特徴の一つであり、また長所である。もちろん、専門分野の突っ込んだ検討が行われにくいといった、このシステムの抱える問題点も指摘されているが、しかし普段、なかなか交流のない他職種同士が同じ会場に膝を突き合わせて検討を重ねることから生まれる利点も多い。ぜひ、今後もこのシステムで継続されることを望みたいと思う。
 ■受身でない参加型セッションの流れ

 また、もう一つの特徴として、学会側が用意した座学でのシンポジウムが主流である今日、そうした「受身」の学習ではない参加型のシンポジウムが開催されている点も特徴として挙げておきたい。
 これは、一昨年度の学会において、有志の医療従事者の集まりが、手弁当で「服薬指導から服薬援助へ」というシンポジウムを開催したことに端を発する。このシンポジウムでは、「寸劇」として演じられた診療風景を鑑賞することで、いかに、医療従事者の視点が患者のそれとかけ離れたものであるか、実際に患者は何を医療従事者に求めているのか、学ぶことが目的であった(寸劇では、診察室で、患者の理解できない「テクニカルターム」を連発する医師の姿や、「薬のことはわかんなーい」と他の職種にお任せの看護職の姿が演じられた)。
ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)NEWSLETTERイラスト その流れは、昨年度の学会において、カウンセラーによる「患者支援」のシンポジウム開催(この時はロールプレイであった)、更に海外で実際の医療従事者の教育に使われているタッチパッドを使っての「HIV感染症治療」を学ぶシンポジウム、そして今年も同様のタッチパッドを使ったシンポジウムに加えて、地元京都で「女性の健康問題と性感染症予防」に関心を持つ若者が企画して、やはり同年代の若い女性を対象に「性感染症予防を呼びかけるクラブパーティ」が開催された。
 この今年開催された女性のための「クラブパーティ」は、「お偉い先生方が舞台で話して終わり」というこれまでの予防啓発活動とは根本的に異なり、対象とする世代と同じ世代が、音楽やダンス、寸劇等のパフォーマンスを通して、性感染症予防を呼びかけたものであった。
 当日は京都近郊の女子大生やOL等若い女性たち(と少数の男性たち)で満席であったが、年代と文化を共有する世代が、より親しみやすい方法で予防啓発を呼びかけたことによって、「性感染症予防」を「他の誰のことでもない」「自分のこと」として認識し、更に現実に即した性感染症予防行動を取るきっかけを掴めたのではないかと思う。私自身は、大脳を賦活化するようなイベントと前頭葉に関わるような予防啓発とのズレは生じないのかといった疑問を抱いていたが、しかし、そのメッセージの伝え方、更に手弁当で行われたパーティが作られていく過程で、人のつながりが更に人を呼び、そこで交わされた会話が行動変容のきっかけを若い人達にもたらしていったという点に、今回のイベントの意義を認識する。

(今野 哉郎)

  1日目
  [一般演題]予防啓発I、II
  第14回日本エイズ学会ホームページ●日本でのエイズ予防啓発に関する最先端の情報が提供された。予防啓発のパンフレットについて、ゲイ男性のコンドーム使用行動に関する研究、MASH大阪の予防啓発介入について、精神的健康とエイズ予防の関係、NGOと行政の連携による予防啓発の開発などの発表が行われる。
 予防啓発に関する研究は、特に若い世代で爆発的な感染の広がりを見せようとしている日本においては、急を要する研究である。特に海外では、文化人類学者によるエイズに関するフィールド研究を、予防啓発に役立てようとする動きが90年代になってさらに活発化した。予防啓発で必要なことは、文化的・社会的な文脈を重視するということである。つまり、ゲイのコミュニティに対しては、一般的な道徳観や価値観を押しつけるのではなく、ゲイ・コミュニティ内の見方・考え方を尊重し、そこから予防介入を考えるということである。
 しかし今回の学会では、異性愛者の十代、二十代の若者に対する予防啓発に関する研究があまりなかったように見受けられたが(「全国性行動調査」はそのベースとなる重要なものだが)、これについてはどうなのだろうか?(新ヶ江 明遠=以下「新」)

  [シンポジウム1]21世紀の日本とエイズ
  ●このシンポジウムでは、21世紀に起こるであろう日本でのHIV感染の流行について、まず日本の現状と展望を述べ、その後日本人の性行動とHIV感染リスクに関する全国性行動調査の結果が報告された。そして最後に、ゲイコミュニティ、NGO、研究者、行政による、日本では初めての「協働プロジェクト」として発足したMASH大阪の、ゲイに対する予防介入のモデルが紹介された。
 21世紀に日本では本格的にHIV感染が流行するであろうと考えられているがその危機意識は希薄であるように思われる。この学会の構成を見ても分かるのだが、ゲイコミュニティに対するアプローチは比較的多く見受けられるように思われる。それだけゲイの人たちは、エイズに対する危機意識が高いのであろう。しかし、それ以外のところではどうであろうか? 日本でのHIV感染者数の推移は、異性間・同性間で同じように増加している。これは、例えばアメリカやアフリカ、東南アジアの例と比較してみても特異である。特に日本は買売春大国とも言われており、そのようなところにアクセスする人やセックスワーカーに対してもHIVに対する感染予防を浸透させなければならないだろう。若い世代に対する予防啓発は、特に急を要するだろう。(新)

  [特別講演(公開講座)]瀬戸内寂聴「愛死」
  ●このエイズ学会を見ても、例えば文学研究や文化研究の立場からエイズについて論じられることはまずない。この瀬戸内寂聴さんの講演はまた別としても、このような文学的・文化的ファクターから見たセッションは必要なのではないかと僕は思う。
 なぜなら、心理学的・社会科学的ものの見方は、ある面で物事を正確に把握できるが、一側面からだけみては分からないこと、その視点からあふれ出てしまうものが必ず出てきてしまうからだ。特に文学のような研究は、人間の生の声、生の手触りを表現する手段である。このような研究が進めば、感染者や患者の生の様式について、何か共有できるものが生まれてくるのではないかと思う。
 さて、講談社文庫から出版されている『愛死』という本、面白いと僕は思いました。皆さんも読んでみては。(新)

  [一般演題]抗HIV療法II
  ●「HAART導入前後のHIV/AIDS患者の健康指標の比較」(034)と題し、CES-Dによって精神健康を縦断的にとらえようとしたこの研究報告。心いきはわかる。しかし、ここでは重大な誤りを侵している。
 精神健康を測定する尺度として、CES-Dの特徴として言われるのは、愁訴に大きく引きずられやすいということである。つまり、症状が多いとCES-Dによって測定する精神健康が低く見られてしまうという欠点がある。よって、CES-Dは一般住民の抑うつ傾向については見ることができるものの、疾患を持った人達には適用できないと、今日では常識とされている。
 さて、石原氏によれば、縦断的には血友病の人達の抑うつ傾向は相変わらず悪いが、性感染によるHIV感染者では良好に推移しているということであった。しかし、これはCES-Dというスケールを用いているがゆえの当然の結論なのである。血友病の人達はHIV感染症以外にも血友病やC型肝炎などの疾患を持っており、そのため多彩な症状が見られている。よって、それに引きづられてCES-Dで測定すると精神健康が悪く見える。しかし、性感染によるHIV感染者ではそういった他の疾患がないため、HIVの問題が解決されれば、症状がない場合に、CES-Dで測定する精神健康が良好になっている様に見える。つまりこの発表は単にCES-Dの特徴を発表したに過ぎないのである。さらに言えば、何もしなかったに等しい。
 建設的な意見を言えば、最低でも多変量解析を行い、CES-Dスコアに対して、身体的健康状態あるいは症状数を調整した上での平均値を出す必要があるだろう。
 このような統計的な無理解と誤解がエイズ関連の研究において今後蔓延しないことを心から願う。(うえきたかよし=以下「う」)

  2日目
  [ワークショップ8]女性とエイズ
 

●これまでは「女といえば母子感染」でしたが、今回は「女性」という独立セッションができました。大きな変化と喜ぶ一方で、これまでなぜ関心があまりはらわれてこなかったのだろうという思いもあります。
 個々の発表は面白かったですが、辛口の感想をいえば、「女性としてのストーリー性」にフォーカスをするのではなく、HIV感染症の治療・ケア・サービスを受ける上で女性という対象が抱える課題は何か、それはどのように改善されうるのか、ということにフォーカスをするほうが、関係者がめざすべきゴールがクリアーになると思いました。
 ワークショップは時間切れでディスカッションができなかったこと、各プレゼンも、他の一般演題のセッションとどう違うのかがよくわかりませんでした。
 情報交換→議論→提案→実践というプロセスがあるとするならば、学会では議論というウチワの満足の段階でおわらず、社会や関係者に提案できるような場になればと感じました。(HIV/AIDS看護研究会 堀成美=以下「堀」)

●このワークショップは今年から始められたプログラムである。今まで母子感染などを通してしか注目されていなかった「女性」というテーマが、今回の学会を通して始めて表舞台で議論されることになった。4人のパネラーが発表をしたが、討議の時間まで取れなかったことが残念であった。発表内容は、若者の保健行動と性差、セックスワーカーとHIV/AIDS予防、HIV女性陽性者の人生の再構築、HIV女性陽性者の経験についてであった。
 このワークショップの後、座長を務められた北山翔子さんと話す機会があった。まだまだHIV感染者に対する偏見的な見方が根強くあるな、と思ったと同時に、女性という立場がどのような意味を持つのか、女性がエイズという病を考えるときに、そこでどのような役割を果たすことができるのか、いろんなことを考えさせられた。それぞれの発表も、女性のエネルギーを感じる印象深いものだったと思う。(新)


  [ワークショップ9]HIV/AIDSカウンセリングにおける倫理的諸問題〜性的パートナー告知を中心に
  ●このワークショップは、特にセックスパートナーに対して、自分の感染を告知すべきか、またカウンセラーがこの問題に対して、どのような立場で問題解決を行うのかということについて、様々な視点から考える非常に興味深いセッションであった。HIV感染者、弁護士、倫理学者の立場から、それぞれの見解が述べられた。
 この「パートナー告知」の場面においては、哲学的・倫理的な難問が横たわっている。アメリカなどでは、このような「パートナー告知」をめぐって裁判もおこっており、今後日本においても、このような問題が発生することが予想される。
 この問題は、単にカウンセラーや臨床医のみが抱え込む問題ではない。例えば、感染者自身の生き方の問題、自己のアイデンティティの問題とも深く関わっており、一筋縄ではいかないだろう。そのような意味においても、様々な問題を研究者に提起した、興味深いワークショップではなかっただろうか。(新)

  [一般演題]看護
  ●「HIV/AIDS患者における受診中断の要因」(181)は判別分析を用いて、受診中断の要因を引き出そうとした発表である。しかし、会場からの指摘もあったように、典型的な統計的な誤りがあったと思える。
 まず、判別分析というものは、国際的にはもはやほとんど使われなくなっている化石のようなものという現状を踏まえたい。なぜなら、「あり」「なし」の2値が説明変数である場合、その両者の比が1に近くない限り、2項分布を正規分布と読みかえることはできず、判別分析は意味がないとされるからである。
 その上で、百歩譲って、池田氏の発表内容を聞いたとしても、やはり変である。それは、統計的手法というよりは、分析に対する池田氏の考え方の誤りによるものである。池田氏によれば、受診中断の要因として、外国人であること、家族への告知がされていないこと、服薬開始されていないことの3つが抽出され、それらの3つにより9割以上が説明されるとしていた。しかし、この分析が明らかなる誤りであることは容易に想像できる。
 たとえば、晴れの日であることを、空の雲の量と降雨の有無で説明してみることにしよう。そうすると、空の雲の量と降雨の有無の2つの変数で、晴れの日が100%近く説明できることになる。この誤りは、「晴れの日」と同等の意味を持つ「空の雲の量」と「降雨の有無」という2つの変数を選択したことによる。
 池田氏の報告もまさに同じである。外国人については、これまた百歩譲ったとしても、「家族への告知がされていないこと」「服薬開始されていないこと」は、受診中断しているから起こっていることなのである。よって、これらを説明変数に組むこむこと自体間違いなのである。
 パソコンやソフトが発達してきている今日、こういう誤りは比較的容易に発生しやすい。しかし、これほど常識的なことに気づかぬ彼女に、私は少々悲しいものを感じるし、見ていて痛々しくも感じた。
 また、池田氏自ら、「医療者の患者に対する態度で受診中断の有無は影響を受ける」と発言したように、彼女自身が報告の中で、自らの結果を否定していたのも興味深い。カルテだけではなく、受診中断した人に、聞き取り調査をするのが、本来の研究のあり方だろう。(う)

  [サテライトシンポジウム]性的リスク行為への社会的・心理的アプローチとエイズ予防啓発への活用〜ゲイ・レズビアン・バイセクシャルのケーススタディから
  ●動くゲイとレズビアンの会(アカー)が主催するサテライトシンポジウム。コロンビア大学の助教授で社会福祉学博士であるジョイス・ハンター氏による講演が行われた。
 ハンター博士は同性愛者、両性愛者の青少年のためのHIV予防普及に関するコミュニティ・ベースの研究プロジェクトの主任であり、その他、同性愛者・両性愛者の青少年のカミングアウト・プロセスや、リスク・ビヘイビアとの関係についてなどの研究も行っている。
 今回のこのシンポジウムでは、リスクビヘイビアに関する先行研究が紹介された後、アメリカでの実践的活動と理論面との関係などについて発表された。
 このシンポジウムは、これからエイズ予防啓発に関わろうとするすべての研究者にとって、非常に有意義なものであった。アメリカでのエイズ予防啓発に関する研究状況が明快に紹介され、これらの研究は、ゲイ・レズビアン・コミュニティのみではなく、その他のコミュニティ・ベースの様々な予防介入にも応用できるのではないだろうか。
 コミュニティー・ベースという考え方が日本でも浸透しているが、このような研究は、これからさらに中心的な位置を占めていくことになるだろう。(新)

  3日目
  [ワークショップ12]母子感染防止のために
  ●セッションが終わって会場を出ると、複数の看護職の方から「本当にあれでいんでしょうか」とたて続けに声をかけられました。皆さんの疑問は都立病院の助産婦が発表したケアについての発表についてでした。
 HIVに感染した妊婦さんが病院にきたときに、自分たちはどうすればいいのか、戸惑う医療者は「マニュアル」を探します。現在あるマニュアルには根拠のないもの、明らかに妊婦やベビーに不利益をもたらす内容があります。○○病院がやっているから、マニュアルに書いてあるから、ということだけで思考や判断をやめてしまっては、本当に患者さんに必要なケアは提供できないと私は感じています。「学会発表」されたものだからと鵜呑みにしない批評的態度をもつことも、ケアやサービスの質に責任をもつものの課題であると思いました。(堀)

  [ワークショップ14]来日外国人とエイズ
  ●日本在住のHIV感染者をめぐる状況についてのセッション。HIV診療における医師と通訳の連携について、タイ人HIV陽性者と婚姻をめぐる問題、来日外国人HIV感染者と人権問題などについて、発表・議論が行われた。特に問題となっていたのは、文化・習慣の違いによる問題、言語の問題、医療費の問題などであった。
 現場で働く医師や看護婦・看護士の方が様々な問題点を指摘され、来日外国人のHIV感染者を取り巻く環境が非常に厳しいものであることが明らかになった。これらの問題と、具体的にどのように取り組むのかということが今後の課題であるが、財政的な問題や文化・習慣の問題など、なかなか一筋縄ではいかないものが多いという印象を受けた。しかし通訳のボランティアなど、着実に成果を上げているものも多く、今後の活躍も期待される。(新)

  [サテライトシンポジウム]コミュニティ・ベースのHIV/AIDS感染予防への取り組み
  ●動くゲイとレズビアンの会(アカー)が主催するサテライトシンポジウム。コロンビア大学の助教授で社会福祉学博士であるジョイス・ハンター氏による講演が行われた。
 ハンター博士は同性愛者、両性愛者の青少年のためのHIV予防普及に関するコミュニティ・ベースの研究プロジェクトの主任であり、その他、同性愛者・両性愛者の青少年のカミングアウト・プロセスや、リスク・ビヘイビアとの関係についてなどの研究も行っている。
 今回のこのシンポジウムでは、リスクビヘイビアに関する先行研究が紹介された後、アメリカでの実践的活動と理論面との関係などについて発表された。
 このシンポジウムは、これからエイズ予防啓発に関わろうとするすべての研究者にとって、非常に有意義なものであった。アメリカでのエイズ予防啓発に関する研究状況が明快に紹介され、これらの研究は、ゲイ・レズビアン・コミュニティのみではなく、その他のコミュニティ・ベースの様々な予防介入にも応用できるのではないだろうか。
 コミュニティー・ベースという考え方が日本でも浸透しているが、このような研究は、これからさらに中心的な位置を占めていくことになるだろう。(新)

  [サテライトシンポジウム]性的リスク行為への社会的・心理的アプローチとエイズ予防啓発への活用〜ゲイ・レズビアン・バイセクシャルのケーススタディから
  ●MASH大阪のここ数年間の取り組みの紹介とその評価について発表された。MASH大阪とはゲイ・コミュニティに対するエイズ予防啓発を、医療関係者、研究者、地域のゲイ・コミュニティのメンバーによって行う「協働プロジェクト」である。「switch2000」というクラブイベントとHIV抗体検査、アート展、HIV/STDに関する勉強会をミックスしたプログラムが、2000年のゴールデンウィークに行われた。このコミュニティ・ベースの予防介入は日本で初めてであり、注目を集めている。
 昨年はMASH東京も発足し、コミュニティ・ベースによるHIV/AIDS予防の取り組みは本格化しつつある。アメリカでは早くからこのような介入が行われていたが、この「協働プロジェクト」は日本型のものとして動いている。海外とのこれらのプロジェクトの比較は、個人的には興味をひくところであるが、まだ出発したばかりのプロジェクトでもあり、今後様々な試みが行われていくだろう。これらのプロジェクトを成功させていくには、やはりゲイ・コミュニティのエンパワーメントが重要な役割を果たすのではないだろうか。個人をどれだけ取り込めていくのかが、成功の鍵となるのかもしれない。(新)


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