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HIV感染者の障害者認定
手帳の交付で受けられる福祉サービス〜交通機関編〜

よしおか 

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 ■福祉サービスは地域によって微妙に異なる

 HIV感染者の障害者認定が98年4月から開始され、そろそろ3ヶ月 になります。岡部翔太さん以外にも手帳が交付された人も多いのではないでしょうか。
 東京都心身障害者福祉センターによれば東京都内では5月18日現在で153件の手帳が交付され、その内訳は1級が56件、2級51件、3級41件、4級5件となっています。予定交付時に保留となったものは7件あり、主な理由は「検査期間の4週間が不足」「記載上の不備」となっています。また検査期間の「連続して」の解釈に疑義があり国に確認中とのことです。
 手帳の交付を受ければ様々な福祉サービスが受けられるようになりますが、実際に受けられる福祉サービスの詳細については自分の住民票のある区市の福祉事務所身体障害者福祉担当係、または町村の福祉担当課身体障害者福祉担当係に問い合わせるのが一番確実です。というのも国の提供するサービスに加えて各都道府県が独自のサービスを提供したり、上乗せしたりし、さらに区市町村がサービスを上乗せしているためです。福祉サービスは地域によって異なっているのです。

 ■交通機関に関する様々な割引制度について

ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)NEWSLETTERイラスト 今回はHIV感染者が社会とのつながりを維持していくために重要な意味を持つ交通機関に関する割引制度について解説したいと思います。
 JRに関してはHIV感染者に関して1級から4級まで全て「第1種」となったため、100キロ以下の近距離についても連れ(介護者)がいる場合は2人とも普通乗車券、定期乗車券、回数乗車券、急行券が5割引になることが決まりました。またJR以外の鉄道もJRに準じる割引です(西武鉄道は100キロ以下ではなく50キロ以下)。101キロ以上の場合は単独乗車でも乗車券、急行券が5割引になります。小児用切符を買い、手帳の表紙をかざしながら係員のいる改札を通るか、もしくは自動改札をそのまま通ることもできます。いずれの場合も係員の指示があったときは手帳を見せなくてはいけませんが、関係者の話では手帳をかざして改札を通る場合、手帳の中身を見せるように言われることはあまりないそうです。
 東京都の場合、1級から4級まで都営交通の無料パスがもらえます。定期券サイズのこのパスには顔写真が貼られますが、身体障害者云々や福祉云々といった記載は一切なく、「都電都バス都営地下鉄無料乗車券・東京都交通局」と書かれているだけです。
 民営バスの場合は1級から4級まで本人、介護者とも5割引になり、定期券は3割引です(小児用定期は除く)。
 タクシーは1級から4級まで1割引になります。区市町村によっては月五千円程度のタクシー券がもらえます。五百円券、百円券、十円券などが組み合わさったもので、おつりは出ませんが1割引になった上で使えます。
 国内航空運賃は1級から4級まで単独の場合も、介護者を含む場合も25%引きになります。航空券販売窓口に手帳を呈示し割引を受けます。
 旅客船は1級から4級まで本人、介護者とも50%引きになります(JRと同様、一人の場合は101キロを超える場合のみ)。
 有料道路は1級から4級まで手帳を所持する本人が運転する場合5割引になります。本人の移動のために介護者が運転する場合にも等級によって割引が受けられます。福祉事務所の窓口で手帳に割引対象者である証明印を受け、車検証、本人運転の場合は免許証を持参し、割引証の交付を受けます。割引対象となる車は一人につき一台のみです。
 駐車禁止規制の適用除外ステッカーについては3級以上が対象になると見られていますが、5月6日現在では決定していません。

 ■指定医、指定医療機関の申請はまだ間に合う

 診断書・意見書を書くことのできる「身体障害者手帳指定医師」および、更生医療を行うことのできる「更生医療の指定医療機関」はすでに決定され、発表されていますが、東京都等では今後も申請を受け付けています。HIV感染症の診療を行いながら、まだ指定を受けていない医師や医療機関はぜひ申請をご検討下さい。


東京都心身障害者福祉センター
障害者認定の申請や福祉サービスに関する
HIV専用電話相談
TEL03-3203-7850
平日午前9時〜午後5時まで
※専用の相談室もあり来所相談も受け付けています。


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