LAP NEWSLETTER

窓口の対応は大丈夫?
翔太が行く、身体障害者認定申請への道

岡部翔太 

RETURN TO23号目次に戻る

 98年4月1日からスタートした障害者認定だけど、各自治体の窓口ではきちんと対応できているだろうか。制度ができても実際に安心して気持ちよく使えなくちゃしょうがない。
 そんなわけで思い立った突撃取材! 各自治体の『特徴』が今、浮き彫りになる!?


ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)NEWSLETTERイラスト 初夏っすね〜。梅雨に入る前のこの季節はホント心地良くって、な〜んもする気が起きないんですよね〜。仕事? 明日やればいいじゃ〜ん! 原稿? 気が向かなきゃ書けな〜い! とか、言っていうるうちに、ニュースレターの原稿の締め切りはと〜っくに過ぎ、それでも、まだやる気にならないのは、♪きっと季節のせいね〜♪っと。
 翔太ファン? のみなさん。お元気ですか? 前回22号の『薬と生活リズム』は、結構反響が大きくて、色々な方面からお言葉を頂きました。本当にありがとうございました。『他の感染者がどんな服薬状況なのかが知れて良かったです』と自宅にFAXくれたOくん、『あんなこと翔太さんしか書けないわね』と誉めて? くれたI病院の看護婦さん、あなたたち、僕の正体を知ってたのね。でも、ありがとうっす。そのほか、LAPを通してコメント頂いた方のお言葉もちゃんと翔太くんに届いております。それだけじゃなくて、最近では、翔太くんのページの企画を考えてくれる方までいて、本当になんとお礼を申し上げていいんやら、感謝、感謝です。
 さて、今回の企画は、『翔太が行く 毒舌王の旅』(こんな題名じゃダメ?)と、いうことで、今年4月1日から免疫機能障害の障害者認定が施行されたということで、各自治体がどれほどの対応ができるかということを調べようということになり、どうせやるなら、4月1日当日にやらなきゃ意味ないでしょうということになりまして、翔太くんが突撃取材することになりました。な〜んか、某雑誌の○○探偵団の○○ゃ丸みたいで、楽しそうだぞ、ということで、今回は結構乗り気(いつもは乗り気じゃないのかといわれると困る)で、取材してまいりました。
 司令の内容は、受付で大きな声で『免疫機能障害の障害者認定の申請をしたいんですけど』と言って、その時の職員の反応、その後の対応をチェックするというもの。翔太くんにうってつけ(きっと僕だけだよね、こんなことするの)の企画! 司令を受けて、地元の東京都某区(何区かは勘弁してね)、千葉市、横浜市神奈川区、豊島区、埼玉県大宮市を突撃してきました。

 ■とりあえず地元から

ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)NEWSLETTERイラスト 朝、8時50分、準備OK。なんといってもまずは、自分の住んでるところから調べなきゃということで、自宅から一番近い東京都某区のS福祉事務所行ってみなくちゃ。取材もかねて自分のために調べておかなきゃね。
 住宅街の中にポツンとある小さな事務所。へ〜、こんなトコロにあるんだ。まずは受付へ行き、例の一言。
『免疫機能障害の障害者認定の申請をしたいんですけど』
「ハ? えーと、免疫機能障害っていうと難病とかですか?」
『いえ、今日から施行されたものなんですけど…』
「あ〜、ハイハイ、えー、ちょっとお待ち下さい」
 ガサゴソと書類を探している。大きな声で言ったので聞こえたのか、奥の方ではなんだか慌てている。それを翔太くんは、薄笑いを浮かべそうになるのをこらえて観察しているのである。
 10分後。別室から一人、男性が出てきた。「ちょっとこちらへ…」
 と言われて、別室へ通された。面接室。
「どうもすみません、急に決まったことなんで、あまり準備ができてなくて…」
 ハハハ、それがわかっているから今日来たんじゃな〜い。でも、ここまではとりあえず合格! 病名は一言も言わなかったもの。
 対応してくれたのは福祉士さん。各福祉事務所には福祉士さんがいるそうです。その、面接室では、障害者手帳の説明やサービスなど本当に細かく親切に対応してくれました。郵送でも申請できるけど、この地域専用の端末用書類があるので、来所して申請した方が早く処理できること、本人が来所しなくても、代理人でもいろいろサービスの申請ができることなど、翔太くんとしては次に行かなければならないので、時間を気にしながらも、親切さにほだされて、一時間も長居してしまった。それと、訓練されてるんじゃないかと思うくらいHIVとかAIDSという言葉を発しないんだよね。ちょっと聞いた話によると免疫機能障害の対応にあたってのお達しがあったようです。
 その福祉士さんが教えてくれたワンポイントは福祉事務所に行ったら受付で内容を言う前に福祉士さんを呼んだ方がいいですよということでした。彼曰く「受付の人はあまりよくわかってないからね…、いろいろ面倒な問答をするより福祉士を呼んでもらうのが得策です」とのことでした。
 自分の住んでる地域だからひいきするわけじゃないけど、ちょっと慌ててたところもあったけど、まぁ合格でしょう。

 ■こりゃ最悪の千葉市

ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP)NEWSLETTERイラスト 10時。次は千葉市へ行かなければ。12時ちょっと前に着けるかな。電車を乗り継いで11時30分、千葉駅着。ここからモノレールで千葉市役所へ向かう。
 まずは、受付のねーちゃんに、
『免疫機能障害の障害者認定の申請をしたいのですけど、福祉課はどこ ですか?』
「ちょっと、待って下さい」
 と言って、電話で取り次ぐ。数分何かを話していて、電話を切った。
「市役所では障害者認定の申請はできません」
 なに、できない? それってどういうことですか。福祉課でできない んですか。申請用紙ぐらい置いてるでしょ?
「市役所では受付てませんので、申請用紙もありません、区役所行って 下さい」
 何で市役所で申請できないんですか?
 その後の受付のねーちゃんの態度がムカついた。また、福祉課に電話 をして、こう言った。
「何で申請できないんですかって言ってるんですけど〜、電話替わって もらえませ〜ん?」
 なんじゃ、この! お前は女子高生か! だいたい、何で福祉課に通してくれないの。とんでもない受付をおいてる千葉市役所にも問題アリ。ムカついたので後で自分で福祉課に直接電話をすると言って出てきた。
 そして外へ出て、直接電話を入れてみた。福祉課の方のお話はこうである。
「千葉市の場合、各区役所が窓口になりますので、申請用紙はその方の 住んでいる区専用の申請用紙で住んでる区の区役所に申請をします。 ただし、郵送で申請を希望する方は、市役所でも受付ます」とのことでした。
 なんでだ。郵送なら市役所で受け付けるんでしょ。だったら市役所にも申請書を置いてないと変なんじゃないの?
 もっとつっこんで調べようとしたんだけど、千葉市に友達はいないし、対応悪いので調べる価値なしということで、打ち切り。調べたい人は、自分で調べてね。

 ■とっても親切な横浜市神奈川区だが…

 千葉駅から一気に神奈川県へ。電車に乗りながら、神奈川県のどこにしようか考えて、先のことを考えて、横浜市の神奈川区役所へ行ってみた。
 ここは、部屋ではないけど、仕切りがしてあって、回りをあまり気にせずに相談できる感じです。担当の方もとても親切な対応をしてくれました。
「実は、まだ、しっかりとは決まっていないのですが…」
 と言いながらも、横浜市で今、障害者手帳を持っていると受けられるサービスの説明や、申請用紙の書き方など、本当に丁寧に説明してくれて、なんだか調査してるのが無礼なような気がしてしまいました。ということで神奈川区は花マルをさしあげたいのですが、家に帰って書類を見たら何と、診断書・意見書が3枚しかありませんでした(これは4枚組みで使う書類なのだ)。対応が丁寧だっただけに悔やまれる結果になりました。

 ■待ってました?の東京都豊島区

大宮に向かう前に、池袋で乗り換えるついでに、豊島区役所へ行ってみようということで、寄ってみました。まず、福祉課に行って、『免疫機能障害の障害者認定の申請をしたいんですけど』というと、「ああ、HIVのね」。ゲッ、それは×。「免疫機能障害の障害者認定ですね」と言ってもらいたかった。「ここじゃなくて、福祉事務所に行って下さい」と言われ、区役所からちょっと離れた福祉事務所へ。そこで、『…申請したいんですけど…』というと、待ってました! と言わんばかりの愛想の良さで「こちらへどうぞ」と椅子を勧められた。ここは、仕切りなどない普通のカウンター席だ。こちらも、とても親切に説明してくれました。障害者手帳の受け取りは郵送でもいいとか、その場合、現住所でなくても構わないとか、いろいろ取り計らってくれる様子がうかがえました。豊島区に引越したいと思ってしまうほど、サービスも充実してるし、対応も愛想良すぎるところはあるけれど親切なので、花マルをあげます。

 ■なぜそんなことまで…の埼玉県大宮市

 時計を見るともう時間がない! 埼京線に飛び乗って大宮へ向かう。5時10分前、大宮市役所に着いた。ギリギリだぜ。
 福祉課までダッシュ。薄暗〜い福祉課の前の長イスにまだ数名いたので、ちょっと待った。順番が来て、申請の旨を伝えると、「指定医はどなたですか?」と聞いてきた。
 えっ、そんなこと聞くの。釈然としなかったけど、まぁいいかと思い、自分の主治医を告げた。すると、一覧表を出してきてその名前を調べている。人の言う事信用しないのかよ。しかし、それには僕の主治医の名前は載ってない。なぜなら、よく見るとその一覧表は埼玉県内の指定医の一覧表だからだ。
 すると、「どちらの病院ですか?」へっ、本気で調べるのかよ。しょうがないから○○病院ですと言うと、少々お待ちくださいと言って病院に電話をし始めた。マジかよ〜。どうして、あなたが僕の診断書を書いてもらう指定医を知らなきゃならないの。
 もう、面倒くさい。この間、30分。疲れたので「あとは自分でやるので書類だけ下さい」と言ってもらって、早々に切り上げた。フ〜、終了。

 ■気が付いたことはどんどん声に出していこう

 このニュースレターが出るころには、もう対応にも慣れ、もっと良い環境が整っているとは思うけど、関東近県だったら、横浜市か東京都がやっぱり対応もサービスも充実していると思います。ホント、東京都民でよかったって感じで、絶対、千葉県(住んでる方には申し訳ないけど)には住みたくないね。
 今現在は、もっとよくなっていることを願いますが、たぶんお役所仕事なのであまり期待できないでしょうね、千葉市役所さん(と、不満を感じることはちゃんと声に出した方がいいみたいだよ。清水代表、このニュースレターを千葉市役所にも送りつけてよ!)。
 実は翔太くんも先日、障害者手帳2級をいただきました。障害者手帳をもらったといっても、各自治体によって、受けられるサービスも違うらしく、例えば、東京都の場合、医療費助成(いわゆるマルショウ)は申請日までさかのぼって払い戻しができるけど、千葉県某市(また千葉県で悪いけど)に住んでる人の話によると、障害者手帳の発行日からじゃないと受けられないなど、さまざまあるようです。
 というわけで、次回は『障害者手帳を手にするまでからその後』と題し、感染者の人へのアンケート結果をご報告しようと思います。

[岡部翔太]


RETURN TO23号目次に戻る