LAP NEWSLETTER

スミマセン篇
医療費負担の実際〜その2〜

岡部翔太 

RETURN TO21号目次に戻る

 たいした取材もしないで原稿なんて書くもんじゃないです。いや〜、でもちゃんと読んでくれている人たちがいるんですね。どうもありがとうです。今回は、その方々から御指摘いただいた訂正をさせていただこうかと思います。

 ■最新の治療法…ではないです

 まずは前号(20号)7ページの和馬クンの薬の量。『AZTを4錠と3TCを3錠』と書いてありますが3TCは2錠の間違いでした。すみません!
「どこの病院でしょうか?」とか「最新の治療法ですか」という問い合わせがありましたが、完全なミスです。申し訳ないっす。3TCを3錠処方するのは保険適用外だし、普通はありえない処方です。もし、3錠飲んでる人は医師に確認してみてください。
 9ページにタケルさんのネルフィナビルの治験が1月で終わっちゃったと書いてありますが、3月6日に認可されたので、その間は治験の時と同様に無料でした。ちなみに薬価は1錠188円70銭でサキナビルと同額。3錠ずつ一日3回飲むのも一緒なので一カ月の薬価も同額の5万949円(2割負担で1万190円、3割負担で1万5285円)です。

 ■コア治験と拡大治験

 コア治験と拡大治験の違いですが、これはかなり難しいっす。詳しく知りたい方は医療従事者に聞くのが一番かもしれません。お寄せいただいた文章などを参考に、僕も確認しながら書きます。
 コア治験は臨床検査値等の基準に合致している方が適応で、更に人数制限があります。また、拡大治験よりも厳密なインターバルで検査が行われます。拡大治験は臨床検査値の除外基準が緩い、人数制限が実質的にない等、規制が少なくより多くの方が参加できるようになっています。どちらも同種同効薬・検査診断料は製薬会社負担が原則です。
 例えばカリニを疑って胸部レントゲンを撮ったとしても、その検査料と診断料は製薬会社負担となるけれど、カリニの予防としてペンタミジンを点滴した場合は、同種同効薬剤とは異なるという理由で自己負担となります。したがって治験中の検査費用は全て製薬会社負担と言えます。
 また、コア治験の目的は抗HIV薬の効果を見ることですが、拡大治験の目的は安全性試験を主眼としています。そのために前記の様な制限、規制があるものと考えられます(この場合の安全性とは広い意味での安全性であり、毒性という意味ではない。毒性、効果を確認したものについて、最終的に多人数で安全性を確認するという「仕上げ」の意味が含まれている。また、現行の治験制度では、効果が確認されていても実際の認可となるまでに結構な時間を要するため、できるだけ早い時期に患者さんに薬を供給するという目的もある)。
 ということです。わかりましたか?

 ■「ウイルス疾患指導科」

 『私立って高い?』のコラムの中で書いた指導料の件ですが、何故とられてないの? という問い合わせがありましたが、どうしてなんでしょう。僕にもわかりませんが、確かに僕の通っている病院では取られていません。これは、厚生省の定める医科点数の中で「ウイルス疾患指導料」として制定されていて、HIV感染者で病院に通院している方ならば、月に一度取られているそうです。これはHIVやB型肝炎等の慢性感染症に羅患している方へ必要な医学的指導を行った場合に請求できるもので、HIV感染症の場合は、月に一度、請求する仕組みになっているそうです。
 ただし、この「ウイルス疾患指導料」は「請求できる」というものであって、「請求しなければならない」ものではないそうです。ですので、病院によっては請求していないところもあるかもしれない、とのことでした。ふ〜、よかった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 みなさん、本当にありがとうございました。御指摘いただいたおかげで、僕自身の勉強にもなりました。
 次号では新たなヒアリング調査報告(?)を掲載するべくこりずに準備を進めています。お楽しみに!

[岡部翔太]


RETURN TO21号目次に戻る