LAP NEWSLETTER

ホームヘルパー3級講座を受講して

穂中英美梨 

RETURN TOニュースレター第9号メニューに戻る

 今回の講習は「高齢者の福祉・介護」についてのものでしたが、LAPが行っているPHA(HIV感染者・エイズ患者)へのサポートや介護にも役立つものはたくさんありました。
 行政が無料でこうした講座を行っているのですから、利用しない手はないのではないかと思います。皆さんも、機会があったら受けられてみてはいかがでしょうか。

■講義・実技・見学、9日間の日程

 私は今までひたすらBaByをおいかけて仕事をしてきましたが去年あたりからBaByでは食えなくなり、受講する機会に恵まれましたので高齢者の福祉・介護など勉強しました。期間は6月中旬から下旬の9日間でした。内容は講義・実技・見学があり充実したものでした。その中から興味深かったことをご紹介したいと思います。

■一日目午前・講義「社会福祉サービス入門」

・老人は話を聞いて欲しいと思っており、反発しないで話を聞くようにする。
・ホームヘルパーに必要なものは「気くばり、目くばり、思いやり」。

■一日目午後・講義「障害者の福祉」

・国によって障害者の定義が違う。
・社会との関わりの中から障害は生まれてくる。
・障害は個性であり、個性は克服するものではない。いい加減に生きる。
・自立の定義:人はいろんな人の援助を受けながら生活をしている。障害者だって同じこと。
・ウサギと亀の話:兎は2回目の競争のときには居眠りをしないで亀に勝った。けれど山にたどりつく前に池があったらどうか。
 いろんなことをとらえる視点をかえてみて創り出す「力」のおもしろさを紹介してくれた講師でした。

■二日目午前・講義「高齢者の福祉」

・七〇〜七五歳の5人に1人が病気。
・病院は老人のたまり場=ひとり暮らし老人の治療の場。

■二日目午後・講義「医学基礎知識」

 講師は老年科医。
・老化は三〇歳からおこり、老化はとめられない、老化を早めない方法としては「病気をしない」「シートベルトの着用」「禁煙」。
・くすりは年をとると共に減らしていかなければならない。処理に時間がかかり蓄積されるため。
・痴呆は極端に物忘れする病気であり脳のマヒである。その人の頭の機能にあわせた対応が必要。

■三日目午前・講義「介護概要」 ・言葉で言えないことを代弁する。
・秘密保持
・排泄:恥ずかしいことを委ねざるを得ない。便が出ることはいいこと。ニコニコする。
・ケアすることは自分をつくる。

■三日目午後・講義「家政概論」 ・元気ないのちは「食べること」。食欲は楽しみのバランス。食塩のとりすぎに注意。
・その家庭独自の食事方法を知る。
・転倒防止に段差に留意する。
・動線を少なくして疲労を少なくする。

■四日目午前・講義「高齢者・障害者の心理」

・老いは実感されえないもの。老いを意識している=気力が衰えている。
・相手を名前で呼ぶ。
・古い記憶の再生はできるが新しい記憶の再生は不得手。
・知能を保持するためには、、

・人間の性格の基礎は中年期までにつくられる。
・ものとられ妄想。否定すると妄想構築。一緒に探す。
・七〇代性欲ある。

■四日目午後・講義「対人援助技術」

・助けてやるぞは×。主役が引き立つわき役になる。
・過保護にならない。からだの機能の低下を招く。
・関心を持っていると相手に伝わる。こっちからつっこむ必要はない。

■五日目午前・実技「介護技術1」

・老化は手足からはじまる。
・目の高さでみる。
・ベッドメイキングの実習。自分からからだを近づける。腰をかがめる。
 シーツにシワをつくらない。

■五日目午後・講義、実技「対人援助技術」

・医療を受けやすくするための体制づくり、医療ソーシャルワーカーとの協力。
・施設福祉から在宅福祉の促進へ。
・訪問時観察。水分がとれているか等。

■六日目午前、午後・実技「介護技術2」

・動かし方の実習。小さくまとめ、テコの原理を使う。
・立つときに前かがみになってから立つ。
・病院に入っていると床擦れができやすい。

■七日目午後・見学「特別養護老人ホーム」

・現代は超高齢化社会。
・健康管理は心の問題。
・心得「人の痛みを知る」「人として安心して暮らせる」「人の尊厳」。ここに入居しているのは人間。信頼関係を築く。
▽私は高齢者はさらっとみて、そこで働く人の表情や言葉づかいを注意してみました。楽しく働く、高齢者の介護が好きでその人と人間としての思いやりを持って接することのできる人が望まれていると思いました。お茶をゼリー状にして水分を補給している人もいました。

■八日目午後・実技「高齢者食調理」

・コレステロール…食物繊維を一緒にとると下げられる(果物・豆類などがいい)。
・カルシウム…インスタント・加工食品に含まれるりん酸で吸収が阻害される。日に当たり、こまめに体を動かすと吸収がよくなる。
・嚥下障害…反射がにぶくなり気管にいく。食べ終わったらすぐに寝てもらわない。食べた物が口の中に残っていないかみる。

■九日目午前・講義「区の福祉」

・区ではしおりを作成、配布し、いろいろな福祉サービスを行っている。

■九日目午後・見学「デイサービスセンター」

・ケアセンターはトレーニング機関。
・催し、デイサービスはひとり暮らしの友達を欲しがっている高齢者を対象に体操やお茶などのレクリエーションをしている。
▽この催しに参加しましたが、高齢者の表情は明るい人が多く、八〇代でワープロを覚えた人もいました。


 以上の講習を終えた感想としては、高齢者も保育と共通した問題があるということでした。  それは手のかかる人の世話をしたくないという家族が少なからずいるということです。そういったことは専門家に任せればいい、自分たちはみたくない、という姿勢を感じます。仕事をしていれば子育ても介護もしなくてよいようです。また、家で子育てや介護をしている主婦は休みもなく、介護疲れの問題があります。ショートステイの利用は可能ですが、社会はいろんなところで問題がひとつにつながっているように感じられます。

[穂中英美梨]


■ホームヘルパーってどんなことをするの?

 ホームヘルパーが行うのは、日常生活上何らかの支障のある人(高齢者や障害者・児など)の社会生活の基盤を整え、必要な事柄について具体的な援助を行うという仕事です。
 具体的には、食事づくり・後かたずけ、食事の世話、買物、洗濯、マッサージ、入浴の世話、排泄の世話、衣類の着脱、相談・助言、話し相手、生活動作の訓練などがあります。
 一九九一年度で四万八〇〇〇人を越えるホームヘルパーが全国で活動しています。在宅ケアの重要な担い手として、保健婦、訪問看護婦、ソーシャルワーカーなどとチームを組んで仕事をすることが多いようです。常勤、非常勤、登録型などの勤務形態があり、一日数時間といった形で働いている人も少なくありません。
 ホームヘルパーになるための近道は本文にあるような自治体等の行っている養成研修を受講することです。研修は年齢制限もなく、誰でも受講できます。詳しいお問い合わせは各都道府県の老人福祉担当部局のホームヘルパー担当課まで。

[参考文献]▼「福祉の仕事」文山縣治他編著、朱鷺書房発行、一九九四年


RETURN TOニュースレター第9号メニューに戻る