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タイのサポートグループ「エンパワー」との交流会報告

よしおか 

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 8月13日、タイのサポートグループ「エンパワー」との交流会を下北沢の「らぷらす」で行いました。この交流会は「生きることと性を考えるOYKOTネットワーク」との共催でした。
 7月にOYKOTの柴崎さんからLAPに連絡がありました。「私たちが今年の春にタイでお会いしたエンパワーというサポートグループの人が国際会議に向けて日本に来るのだけど、一緒に交流会をやりませんか」「エンパワーの人も日本で活動しているグループと交流をしたがっているから」とのことでした。
 さっそく、僕らは会場や通訳の手配などの準備をはじめました(通訳は結局、OYKOTの方にお願いしました)。また、エンパワーの責任者であるチェンタビパ・アピスクさん(「ノイねえさん」という愛称で皆から慕われているそう)が来られるということで、僕らも少人数のスタッフで交流会にのぞみました。

■売春婦へのサポートグループ

 エンパワーは売春婦へのサポートグループとして1985年に誕生。事務所はパッポン(バンコクの夜の繁華街の名前)も含めてバンコクに二つ、チェンマイに一つ、ヘッドオフィスはバンコク郊外のノンタブリーにあり、全部で四ヶ所もあるそうで、専従スタッフは全部で一三人。
 もともとパッポンなどの売春街で働く女性たちのサポートと教育を中心に活動してきたエンパワーは、英語・タイ語の教育プロジェクト、タイプとミシンの教育プロジェクトをはじめ、様々な相談を受けるホットライン、来訪相談、などのプロジェクトを進めているグループです。
 エイズに関しては「ドラマ・プロジェクト」というものがあり、街頭やバーでエイズについての寸劇を行っている。また、エイズ相談のホットラインもあり、2ヶ月に一度発行しているニュースレターは市立病院にも配布して、2000人の人が読んでいるそう。教員養成学校などにエイズの講義やワークショップに行ったり、学校に行ってコンドームを無料で配ったりもしている。
 また、タイも日本に負けないぐらい政権がいろいろとかわっているそう。しかも日本と違って、政権が変わる度に政府の方針がかわるので「せっかく分かってきた担当者がどんどんかわってしまって、また一からやりなおしだ」といっていました。さらに「私達は10年活動を続けている。どんどん変わって行く政府よりも、自分達の方が長い歴史と信頼がある」と言われたときには一同爆笑でした。
 タイでは国を挙げてのキャンペーンの結果、エイズは「悪い行動」「セックス」「ドラッグ」「不道徳」というイメージが出来てしまい、HIVに感染していると言えない状況があるそうです。そうした状況があり、エンパワーに連絡をとっている約200人のPWA(HIV感染者・患者)の人は電話や手紙だけの人も多いそうです。
 資金面ではタイ政府、WHO、オーストラリア、アメリカの財団などからそれぞれ援助があるというが、最近は海外の基金はタイへの助成をカットする傾向があり、「もっと状況の厳しい地域に重点をおいて欲しい」と言われていました。
 日本でも何度か紹介されているタイの寺院が行っているエイズホスピスのことも聞きました。すると「多くのPWAは寺院のホスピスには行きたがらない」ということでした。世間から離れてしまうこと、生活が規制される、倫理的に厳しいことが理由のようで、「売春婦の人は決して行きたがらない。それに、そもそも女性は入れない」そうです。

■横浜国際エイズ会議について

 この八月に横浜で行われた国際エイズ会議については、「今回初めてアジアで行われているのに、通訳されたアジアの言語は日本語だけだったのはおかしい」「アジアのことについて話し合われたことは少ししかない」「アジアのNGO(非政府組織)のプロジェクトの発表が少なく、欧米が中心だった」と不満な点を挙げられていました。せっかくアジアでやったのにという失望感は強かったようです。
 ただ、「欧米主導の会議だったが、日本のNGOもたくさん参加していた。次回の会議までにアジアのネットワークをつくって行きましょう。日本のNGOが果たす役割は大きいし、担っていって欲しい。アジア同士の連帯を強めて行きましょう。アジアだけの会議を持つことも大事じゃないか」とも言われていました。今後、アジアでの感染拡大が叫ばれています。アジアの国々から日本が期待されている役割の大きさに改めて考えさせられました。


 わずか二時間あまりの交流会でしたが、お互いの活動について、
 お互いの国の置かれている状況について話し合うにはあまりに短く
 あっという間に過ぎてしまった2時間でした。今後もタイのエンパ
 ワーと情報交換等、お互いに協力して活動を進めていければと考え
 ています。

■生きることと性を考えるOYKOTネットワーク

 私たちOYKOTネットワークは当初「人間と性」教育研究協議会(性教協)の東京の一サークルとして1991年11月に旗揚げしました。その後、92年3月に「生きることと性を考えるOYKOTネットワーク」として独立し、今日に至っています。
 もともと性教育を目指していましたが、学校や性教育の枠を越えていろいろなテーマを追求しています。避妊、中絶、セクシュアリティに関する問題、売春婦、家族制度、お墓やお葬式の問題、それと並行してこの2年間はAIDSが大きなテーマとなっています。
 自分自身の問題として性(セクシュアリティ)をどうとらえるか、というのが私たちの共通課題です。
 メンバーの興味のあることならテーマは何でもOK、「楽しくやろう!」が私たちのモットーです。気軽にご参加下さい。(パンフレットより)

[連絡先]
 〒156
 東京都世田谷区上北沢4−19−8−507
 TEL&FAX 03-5317-5902
               柴崎 由美子


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