LAP NEWSLETTER

合宿がありました。
LAPバディ・トレーニング合宿報告

平田俊明 

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- 8月28日(土)、29日(日)にLAPのバディ・トレーニング合宿が行なわれました。その簡単な内容紹介と感想です。
   今回の合宿は、参加者が8名、場所は普通のマンションの一室で、とてもくだけたアットホームな雰囲気の中で行われました(時折、くだけすぎたような気がしますが)。扱う内容も時間の配分もその場に応じて柔軟に変わっていたように思います。「何時から何時までこれをやる」というふうにはっきり区切らずに、雑談しているうちに色々な作業をこなしていた、という感じでした。主なファシリテーターはLAPスタッフの安田さんで、内容によって代表の清水さんが担当したり説明を加えたりしていました。
 概要は次の通りです。

▼1日目

  1. マッサージ
    基本的なマッサージを看護学生のリードのもとに行ないました。
  2. HIV感染症の基礎知識の確認
  3. 実習
    いろいろな性行為の書かれたカードをリスクの高い順に並べ替えるものです。「コンドームを使わない挿入(される側)」とか「お互いにマスターベーションを見せあう」などと書かれた10枚のカードを並べ換えます。
  4. セクシャリティについての話
    清水さんのお得意だそうです。今度詳しく書いてもらいましょう。
  5. 実習
    「喪失[LOS]と悲鳴[GRIEF]についての実習。イメージ誘導(ヴィジュアライゼーション)をしました。GCHPというサンフランシスコの団体で使われているエクササイズです。
  6. 平田さんの短歌とショーン・デュケーさんの歌
    平田さんの短歌を安田さんが謡にしたのを謡いました。それから、合宿の数日前に亡くなったショーンさんの歌をテープで聞きました。
  7. サポーティヴ(オルタナティヴ)・セラピーの話と実習
    以前、ニュースレターでも紹介されていたサポーティヴ・サラピーとして一番最初に「カラオケ」が出てきてのがなかなかLAPらしいと思いました。その後、LAPのスタッフで気功ができる人が実際に気功を実習しました。
  8. シャンティ・プロジェクトのルールとLAPへの応用
    サンフランシスコの団体、シャンティ・プロジェクトのボランティア・マニュアルを読みながら、そのルールが日本でどの位使えるかを話し合いしました。

 一日目は寄るの2時すぎに終わったのですが、その後、参加者の何人かはさっそくサポーティヴ・セラピーの「カラオケ」を実体験すべく夜の街へと繰り出しました。

▼2日目

    -
  1. バーン・アウトとその対策
    バーン・アウトとはなにか、その特徴、その防止法などについての話をしました。さらに自分にあった防止法について、ブレーン・ストーミングによって色々なアイディアを出し合いました。
  2. 実習
    自分が実際に抗体検査を受け結果を聞くまでの2週間いろいろな場面を順にイメージしていってその時の自分の気持ち・感情などを見つめる実習です。
  3. ピア・カウンセリングの基本
    ピア・カウンセリングとは何か、その注意点などについて話をしました。
  4. マッサージ
    アイロンマッサージも含めてやりました。

 僕は一日目の「サポーティヴ・セラピーの話」から参加したのですが、参加した中で一番印象に残った二日目の「実習・抗体検査について」についての感想を書いておきます。この実習は、検査を受けるときの気持ちや、検査を受けて感染がわかった時の気持ちをより身近にわかりたいと思う人たちにとってかなり意味のある実習ではないかと思います。
 イメージを思い浮かべている過程で、皆、かなり本当に検査を受けに行っている人の気持ちになりきり、検査結果を知る直前や知った直後の反応は真に迫ったものであるように思いました。小グループの話し合いの中では、検査結果を知ったときの自分の反応をふまえて、結果告知後のカウンセリングはどうあるべきかについて話し合われました。「陽性」だった一人の人の反応は、「空白の状態」で「とにかくここ(保健所)から早く出ていきたい」というもので、告知後にカウンセラーが話す内容は、ほとんど耳に入らないだろうということでした(だからといって、即、告知後のカウンセリングが無意味だということにはならないと思いますが)。陽性であることを、告げられた人を、告知後、しっかり受け止め支える体制づくりの必要性を改めて痛感しました。最低限、告知後のカウンセリングの時に、必要な情報(病気についての知識や「あなたを支える準備体制があるんですよ」というメッセージなど)が書かれたパンフレットのようなものを渡し、後で落ち着いたときにその情報をすぐに目にすることができるようにする、などの処置は必須だと思いました(わかっている人には、当たり前のことでしょうが)。この実習の他にも、いろいろ受け取るものの多い合宿の最中だけでなく、帰った後にもこなしていかなければならない宿題をたくさんあたえられた合宿だったように思います。
(文中に引用した「ある方の反応」は本人の承諾を得て書かせていただきました)


また参加させていただこうと思います [ジーコ]

- AIDSに関して、きちんと勉強したいということもあって今回参加させていただきました。AIDSの基礎知識は、やはり自分の中で誤解していた部分がかなりあったので、きちんとお聞きしておいてよかったです。
 マッサージに関しては、いつも「実験台(!?)」として、していただくことが多いので、(これが本当に気持ちがいいのです。特にアイロン・マッサージ)これからは「する」ほうとして勉強していこうと思います。
 それから、先日亡くなられたショーンさんの歌を聞かせていただいたのですが・・・言葉が出ませんでした。でも歌を聞いている時、ショーンさんが歌っている姿のイメージが浮かびました。それは、とても力強くまた美しいものでした・・・。
 今後、今回のような勉強会がありましたらまた参加させていただこうと思います。


LAP合宿に参加して [あさみ]

 こんにちは。私は、今年の春にLAPに入会し先日LAPの研修合宿に参加しました。とても実りのあるものでした。今まで、感染者・患者の方々の事を私なりに受け止め、考えてきたつもりでしたが、上辺だけしか見ていなかったような気がしました。価値観が変わったとでも言うのでしょうか。
 特に印象が深かったのが2回行われたイメージ誘導(ヴィジュアライゼーション)の「抗体検査」と「悲しみと喪失のイメージ」です。先頃、AIDSによって亡くなられたショーン・デュケー氏の歌をBGMに、平田さんの短歌も交えて行われました。私自身、相当入り込んでしまって、今の自分を取り巻いているものが変化し、失われてしまう絶望感と孤独感、そして、近い将来に待っている死への思いで涙が止まりませんでした。2日経った今でも、気持ちが揺れてしまう程です。
- また別の時、私は前向きに、ポジティヴに、かえって周囲の人々にPOWERを与えるかのように生活していらっしゃる方に出会う機会がありました。ショックでした。その方のあまりの強さに圧倒されました。平田さんの生き方や短歌にも、その姿勢は表現されており、前出のショーン・デュケー氏の切実な願いとを重ね会わせると何と強い精神力か、と感服しました(大袈裟でなく)。
 こんなに強い方々の存在や作品に、他の感染者・患者の皆さんが出会うことが出来たら、そしてその強さを自分の物として、胸を張って生きていければ、と心から願います。そのためにも、LAPの会員として微力ながらLAPの活動をお手伝いして行きたい、と思うのです。


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