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東京HIV訴訟を支える会


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 日本の血友病患者5000人のうち約40%の人が治療に用いていた血液製剤を原因としてHIVに感染するという被害を受けました。昨年末の厚生省の調査では、感染血友病患者は1685人、363人がAIDSを発症、うち213人が既に亡くなっています。今なお日本の感染者・患者の70%近くを占めています。日本におけるAIDS問題は、血友病患者への薬害抜きには語ることができません。
 原因となった血液製剤はAIDSの広がりつつあったアメリカの売血を原料として製造されていました。当時、輸血用の血液に関しては国内自給されていましたが、製剤の原料については90%以上を輸入にたよっているという状態でした。1982年には血友病患者のAIDS症例が報告され、1983年にはアメリカで加熱してウィルスを殺した安全な製剤が承認されました。厚生省やミドリ十字などの被告企業は明らかに製剤の危険性を知りながらも、患者には虚偽の安全宣言を行ない、輸入を禁止して安全な国内血を原料とした製剤への切り替えなどの措置を全くとらず、危険あ製剤を1985年まで使わせ続けました。当時、血友病の専門医の指導的立場にあった医師たちは、ミドリ十字などの国内企業の市場確保のため、輸入加熱血液製剤の承認を遅らせたことが判っています。外資系企業は、自国で売れなくなった危険な製剤を日本で大量に販売するという行為まで行ないました。まだまだひどい事実がありますが、とにかく日本の血友病患者、そして配偶者達は、企業利益を守るために見捨てられたのです。
 感染被害を受けた患者やその家族は、様々な困難の中、1989年10月に国と製薬会社5社(ミドリ十字、日本臓器、化血研、バイエル、バクスター)を相手取り、東京地裁に民事訴訟を提訴しました。現在原告は47名、そのうち既に18名が亡くなっています。訴訟は被害を徒に拡大した国の当時の厚生省課長の訊問を行なうまで進んでいます。国は「国としては当時可能な限りのことを行なおうとしたが、企業や医者たちが邪魔をした」など、さも国には責任が無いかのような厚顔無恥な証言をしています。しかし、これは、本気で血友病患者の命を守る気など無かったことを、自ら明らかにしたようなものです。
 原告団・弁護団・支える会では、公正迅速な裁判を求める署名を行なっており、現在まで約6万人の賛同を得ています。また、昨年と一昨年には、都内で「とびらをひらく」市民集会を開き、多くの方々に参加を得ています。千代田総行動や東京総行動にも参加させていただき、厚生省と直接交渉をも始めています。徐々に薬害AIDSを取り上げるジャーナリストの方々も増えてきています。
 一方、原告と被害者は強い差別偏見などの大変困難な社会的状況下に現在もいます。医療体制も一向に改善されていません。しかし幸いにして現在生存している原告たちは、懸命に闘い、生き抜こうとしています。
 原告団・弁護団・支える会は、次の4項目による薬害被害者の完全救済を、今、世論に求めています。

  1. 国と製薬企業は薬害の責任を認め、被害者への完全賠償をせよ
  2. 国と製薬会社の責任において、全国の患者・感染者に最善の治療を保証せよ
  3. 差別偏見を助長するAIDS予防法案を撤廃し、正しい知識を普及し感染者の人権を守るための政策を実施せよ
  4. 日本赤十字による安全な国産製剤の完全自給を実現せよ

 この4項目については、広く賛同を求める運動を行なっており、現在まで200人近い著名人・文化人の賛同を得ています。
 支える会は、現在会員が約250名。年会費2000円で、支える会ニュース「とびら」や様々な企画のご案内をお送りいたしますので、是非ご入会下さい。公正迅速な裁判を求める地裁宛ての署名やパンフレット「この命のために」(一部100円)の頒布などのもご協力いただけると幸いです。
 最後に、紙面を割いていただいたLAP事務局の方々に感謝いたします。

支える会のホームページへ[閉鎖]
http://etude.math.hc.keio.ac.jp/seminaire/tetu/HIV/Hiv.html


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