LAP

エイズサーベイランス
〜95年8月末日


                                         平成7年9月27日
       工イズサーべイランス委員会の結果報告について

1.平成7年7月1日から8月末までの間に、医師から各都道府県知事及び指定都市
 市長に報告されたHIV感染者等は患者34名、感染者64名の計98名であった。
 患者及び感染者98名の内訳は、
 (1)感染原因別では、異性間性的接触44名、同性間性的接触26名、母子感染2 名、
 その他2名、不明24名であった。 (表-1)
 (2)性別では、男性72名、女性26名であった。 (表-1)
 (3)年齢区分別では20歳未満4名、20歳代42名、30歳代31名、40歳代14名、50歳以
  上 7名であった。 (表- 2)
 (4)国籍別では、日本人56名、外国人42名であった。
 (5)感染地域別では、国内43名、海外18名、不明37名であった。 (表-3)
2. 今回は、患者・感染者98名の報告のうち、44名が異性間性的接触によるものであ
 つた。
  このうち、日本人の報告は、男性21名、女性5名の計26名 (表-1)であり、感染
 地域は国内17名、海外 4名、不明 5名であった。
  また、外国人患者・感染者42名の性別内訳は、男性22名、女性20名であった。(
 表-1)
3.今回の報告より、感染源が「男性両性愛」であるものについて、従来「その他・
 不明」として集計していたものを「同性間の性的接触」に含めることとした。
  また、「その他・不明」についても、「その他」と「不明」を別掲載することと
 した。
4.今回17名の死亡報告があり、「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」から
 の報告と合わせ累積死亡報告数は626名となった。



                             平成7年9月27日
              山崎委員長コメント
1. 今回(平成7年7月から8月末まで)のエイズサーべイランス委員会への報告は
 患者34名(前回23名)、感染者64名(前回40名)の合計98名(前回63名)で、前回
 よりも35名増加しています。このうち、日本人患者は前回よりも5名多い22名、日
 本人感染者は11名多い34名、外国人患者は6名多い12名、外国人感染者は13名多い
 30名となったことから報告数が増加しています。
2.今回の報告数98名は、3年前の平成4年9月のエイズサーベイランス委員会での
 報告数、100名に次いで、過去2番目に多い報告数となっています。この時の報告
 と比較すると、患者・感染者の国籍は、平成4年9月には日本人30名、外国人70名
 であったのが、今回は、日本人56名、外国人42名と日本人の割合が高くなっていま
 す。また、感染地域は平成4年9月には国内での感染39名、海外での感染46名であ
 ったのが、今回は、国内での感染43名、海外での感染18名と国内での感染の割台が
 高くなっています。
3.今回報告のあった患者・感染者を年齢別でみると、20歳未満、20歳代、30歳代を
 合わせて77名で、全報告数98名の約8割を占めています。さらに、日本人患者・感
 染者を年齢別でみると、20歳代が19名と最も多く、次いで30歳代15名、40歳代14名
 、50歳以上6名、20歳未満2名となっており、若い世代で患者・感染者が多いこと
 がわかります。平成7年5月に総理府が行った「エイズに関する世論調査」の結果
 によると、約6割の人が、今後エイズ患者が増加すると思っており、その理由のひ
 とつとして「日本人の性行動が開放的になっているから」と答えた人が多数いまし
 た。今後とも、若い世代の性的接触による感染の拡大の防止に充分留意した対策が
 必要と考えられます。
4. 9月17〜21日、タイのチェンマイで開催された、第3回アジア・太平洋地域国際
 エイズ会議には、世界60カ国から2500人以上が参加し、我が国からも多数の研究者
 、NGOが出席して、各国参加者との意見交換・情報交換を活発に行いました。アジ
 アにおけるエイズの流行状況はますます深刻さを増しており、感染者数が少ない国
 もひとたび感染が拡がり始めると短期間のうちに急増すること、その前に先手を打
 って予防対策を進めなければならないことなどが指摘されました。また、女性の感
 染者が世界的に増えており、アジアにおいてもアフリカに次いで女性感染者が男性
 感染者数に近づきつつある傾向が明らかにされました。主催国のタイでは、妊婦に
 おけるHIV感染と母子感染例の増加が報告され、深刻な問題になっています。我が
 国においても、今回のサーベイランスで、女性の感染増加と2例の母子感染が明ら
 かになったことから、今後の傾向を注意深く見守っていく必要があります。



                       HIV感染者情報
                   (平成7年7月1日〜8月末日)
1.性別・感染原因別患者・感染者数
                     男 性       女 性        合 計
異性間の性的接触 27(6)人 17(12)人   44(18)人
同性間の性的接触 26(4)   0(0)      26 (4)
静注薬物乱用      0(0)   0(0)       0 (0)
母子感染          0(0)   2(1)       2 (1)
その他            2(2)   0(0)       2 (2)
不  明         17(10)   7(7)       24(17)
合  計         72(22)  26(20)      98(42)


2.性別・年齢別患者・感染者数
                  男 性      女 性        合 計
20歳未満       1(0)人   3(2)人     4(2)人
20〜29      24(9)    18(14)     42(23)
30〜39      26(12)    5(4)      31(16)
40〜49      14(0)     0(0)      14(0)
50歳以上       7(1)     0(0)       7(1)
不   明       0(0)     0(0)       0(0)
合   計      72(22)   26(20)     98(42)


3.性別・感染地域別患者・感染者数
             男 性         女 性           合 計
国      内  34(0)人       9(5)人      43(5)人
海   外  14(9)         4(3)        18(12)
不   明  24(13)       13(12)       37(25)
合   計  72(22)       26(20)       98(42)

注:( )内は外国人再掲数
(参 考)


1−2 患者内訳
                      男 性       女 性       合 計
異性間の性的接触      12(4)人   2(1)人  14(5)人
同性間の性的接触       8(0)     0(0)     8(0)
静注薬物乱用           0(0)     0(0)     0(0)
母子感染               0(0)     0(0)     0(0)
その他                 1(1)     0(0)     1(1)
不明                  10(5)     1(1)    11(6)
合計                  31(10)    3(2)    34(12)


2−2 患者内訳
                         男 性     女 性      合 計
20歳未満              0(0)人  0(0)人   0(0)人
20〜29              5(1)    3(2)     8(3)
30〜39             12(8)    0(0)    12(8)
40〜49              9(0)    0(0)     9(0)
50歳以上              5(1)    0(0)     5(1)
不   明              0(0)    0(0)     0(0)
合   計             31(10)   3(2)    34(12)


3−2患者内訳
                         男 性     女 性      合 計
国   内            10(0)人   1(0)人    11(0)人
海   外             9(4)     0(0)       9(4)
不   明            12(6)     2(2)      14(8)
合   計            31(10)    3(2)      34(12)

注:( )内は外国人再掲数



                   エイズ患者等の届出状況等

1.日本のエイズ患者の状況(平成7年8月末現在)
                        男性            女           性合計
異性間の性的接触    143人(32)        34人(16)         177人(48)
同性間の性的接触*1 158  (30)         0   (0)        158  (30)
静注薬物乱用          4   (3)         0   (0)           4   (3)
母子感染              4   (1)         3   (1)           7   (2)
凝固因子製剤*2     525  (…)         5   (…)        530  (…)
その他               10   (4)         6    (0)         16   (4)
不   明          118  (49)        16   (12)       134  (61)
合   計          962 (119)        64   (29)       1,026 (148)
注:*1 男性両性愛者を含む。
注:*2 平成7年5月末現在における「発症予防・治療に関する研究班」からの
      報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する
    法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされ
     ている者は、報告の対象から除外されている。



2.日本のHIV感染者の状況
              男性            女性             合計
異性間の性的接触    334人(82)    477人(365)       811人(447)
同性間の性的接触*1 328  (55)      0   (0)   328  (55)
静注薬物乱用      10   (8)      0   (0)        10   (8)
母子感染               2   (1)      6   (3)          8   (4)
凝固因子製剤 *2   1,782   (…)    21   (…)     1,803   (…)*3
その他                18   (6)     18    (1)       36    (7)
不   明           132   (75)   295   (285)     427   (360)
合   計         2,606  (227)   817   (654)   3,423   (881)
注:*1 男性両性愛者を含む。
注:*2 平成7年5月末現在における「発症予防・治療に関する研究班」からの
     報告による数字である。なお、「後天性免疫不全症候群の予防に関する
    法律」施行後(平成元年2月17日以降)、凝固因子製剤が原因とされ
    ている者は、報告の対象から除外されている。
   *3 患者530名を含む。


(参考)
・凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
・性別・年齢区分別・感染地域別患者・感染者数(法施行後)

                  男性               女性               合計

            国内 海外 不明    計  国内 海外 不明   計 国内 海外 不明    計
20歳未満    11    1    1    13    15   42   33   90   26   43   34   103
(患者再掲) (5)  (0)  (0)   (5)   (2)  (2)  (0)  (4)  (7)  (2)  (0)   (9)
20〜29   140  100   65   305    83  223  295  601  223  323  360   906
(患者再掲)(20) (28) (18)  (66)   (6)  (5) (13) (24) (26) (33) (31)  (90)
30〜39   127  168   84   379    32   29   32   93  159  197  116   472
(患者再掲)(36) (62) (35)  (133)  (6)  (3)  (3) (12) (42) (65) (38)  (145)
40〜49   145   85   58   288     9   10    3   22  154   95   61   310
(患者再掲)(46) (35) (35)  (116)  (1)  (5)  (0)  (6) (47) (40) (35)  (122)
50歳以上    79   55   31   165    12    1    0   13   91   56   31   178
(患者再掲)(30) (28) (20)   (78)  (4)  (1)  (0)  (5) (34) (29)  (20)  (83)
不  明       0    1    2     3     0    4    1    5    0    5    3     8
(患者再掲) (0)   (0)  (0)   (0)   (0)  (0)  (0)  (0)  (0)  (0)  (0)   (0)
合  計     502   410  241 1,153  151  309  364  824  653  719  605  1,977
(患者再掲)(137) (153)(108)(398)  (19) (16) (16) (51)(156)(169)(124) (449)



(参考)世界のエイズ患者の状況(1995年6月30日WHO報告)

地  域    患者発生状況     備         考
                          国 名   患 者 数  人   口
アフリカ州    418,051 人 ケニア      56,573人   21,400千人
(54カ国)             ウガンダ    46,120     16,672
                         タンザニア  45,968     23,174
                         ジンバブエ  38,552     10,402
アメリカ州    580,129    アメリカ合衆国 441,528    248,710
(45カ国)             ブラジル    62,314    146,155
                         メキシコ    22,055     81,141
アジア州       23,912    タイ        19,095     54,532
(42カ国)             インド       1,036    844,324
                         日本           924*1  123,611
ヨーロッパ州      141,275    フランス    35,773     56,634
(37カ国)             スペイン    31,221     37,746
                         イタリア    27,511     56,557
オセアニア州         6,444    オーストラリア      5,737     15,602
(14カ国)
合計(192ヵ国)1,169,811

    ( )内は、患者報告のあった国数である。
注:*1.この報告による日本の患者数は1995年4月末現在である。



都道府県別HIV感染者(患者を含む)
           ブロック別
都道府県名     患者・感染者数    構成割合   患者・感染者数   構成割合
                        (人)       (%)          (人)    (%)
1北海道              21(1)      1.0
2青森県               5(0)      0.2
3岩手県               4(0)      0.2
4宮城県               8(0)      0.4
5秋田県               3(0)      0.1           北海道・東北
6山形県               4(0)      0.2
7福島県               5(0)      0.2                 50       2.4
---------------------------------------------------------------------
8茨城県             235(5)     11.1
9栃木県              45(1)      2.1
10群馬県              34(1)      1.6
11埼玉県             103(7)      4.9
12千葉県             153(8)      7.2           関 東
13東京都             688(33)    32.5
14神奈川県           160(12)     7.6               1,418      67.0
--------------------------------------------------------------------
15新潟県              21(0)      1.0
16富山県               4(0)      0.2
17石川県               2(0)      0.1
18福井県              16(0)      0.8           北陸・甲信越
19山梨県              37(0)      1.7
20長野県             107(6)      5.1                 187       8.8
--------------------------------------------------------------------
21岐阜県              16(2)      0.8
22静岡県              49(5)      2.3           東  海
23愛知県              75(6)      3.5
24三重県              28(2)      1.3                168        7.9
--------------------------------------------------------------------
25滋賀県               4(0)      0.2
26京都府              29(2)      1.4
27大阪府             103(6)      4.9
28兵庫県              22(0)      1.0          近  畿
29奈良県              14(1)      0.7
30和歌山県             7(0)      0.3                179        8.5
--------------------------------------------------------------------
31鳥取県               2(0)      0.1
32島根県               5(0)      0.2
33岡山県               3(0)      0.1          中  国
34広島県              15(0)      0.7
35山口県               7(0)      0.3                 32        1.5
--------------------------------------------------------------------
36徳島県               3(0)      0.1
37香川県               2(0)      0.1          四  国
38愛媛県               5(0)      0.2
39高知県               5(0)      0.2                 15        0.7
--------------------------------------------------------------------
40福岡県              30(0)      1.4
41佐賀県               0(0)        -
42長崎県               7(0)      0.3
43熊本県               5(0)      0.2
44大分県               2(0)      0.1
45宮崎県               1(0)      0.0          九州・沖縄
46鹿児島県             7(0)      0.3
47沖縄県              15(0)      0.7                 67       3.2
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合  計           2,116(98)   100.0              2,116     100.0
注:凝固因子製剤による患者・感染者は除く。
        (平成7年8月末現在)
( )内は今回報告数(平成7年7月、8月分)である。


問い合わせ先 厚生省 保健医療局エイズ結核感染症課
       担 当 梅田・杉江 (内線:2342,2368)
       電 話 (代)3503-1711


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