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薬害エイズ裁判和解6周年記念集会
「薬害エイズの教訓は再発防止に生かされたか」

セリ 

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 薬害エイズ事件は、和解から今年で六年が経過した。この六年の間で、いったい薬害エイズの何が明らかになったか。
 この六年の活動を振り返りつつ、改めて真相究明の現状について報告が行われた。

 2002年4月27日(土)の記念集会では、現在、国会において審議中の「薬事法および採血及び供給あっせん業取締法の一部を改正する法案」に関して、「1.スモン、サリドマイド、薬害エイズ、薬害ヤコブの教訓を踏まえた法案として、薬害再発防止の理念を前文として付け加えるべきである」などを含む、提言が行われた。
 弁護団代表の清水洋二氏は「薬害エイズ事件はもう過去の出来事のように扱われていますが、2000人を超える薬害エイズの被害者は今もエイズの薬を飲み続け、その副作用と戦っています。また、薬害エイズの後も薬害ヤコブ病が見つかり、薬害エイズの教訓が生かされませんでした。この教訓を生かすには、社会が、被害や痛みを理解することからはじめなければならない。一人ひとりが人間の視点を持ってもらいたい」と語られた。
 衆議院議員の川田悦子氏からは「できるなら被害者を元の体に戻してほしい。亡くなった524人の犠牲者を無駄にはしたくない。提訴から六年、和解から六年。長い戦いでした。これまでの戦いから勝ち取ってきた役割は大きいものがあると思います。命よりも企業の利益を優先した考えから薬害エイズは起こりました。どうしてあの時、社員の中から、公務員の中から、勇気を持って告発してくれなかったのだろうか。そういう思いから、私は内部告発者保護法という法律を作りたいと思います。」と熱意が伝わってきた。
 ジャーナリストの桜井よしこ氏は「和解から六年が過ぎたけれど、実質は何も変わっていない。薬害エイズ後の薬害ヤコブの時に出された反省文も、エイズの文字とヤコブの文字を入れ替えただけで同じ文面である。日本の医療行政は患者の視点が欠けている。薬品メーカー優先の官僚の視点である。プロフェッショナリズムが欠けている。無責任なアマチュアリズムである。もっと自ら責任を持って行動するプロに徹してもらいたいと思います。」と述べられた。
 広い会場に少し空席が目立ったのは寂しく感じられた。清水氏の「社会が、被害や痛みを理解することからはじめなければならない」という思いは届くのだろうか。薬害エイズ被害者の悲しみは深いと思った。

[セリ]


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