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サンフランシスコ視察報告
鬼塚直樹さんに会って来ました

阿部努 

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 ■サンフランシスコ視察と言ったら鬼塚さん

 今年2月、サンフランシスコ視察に行って来ました。
 サンフランシスコと言ったら、やっぱり鬼塚さんですよね。
 でも、いつも忙しい鬼塚さん、本当は「あそこと、ここと、それにここに連れてって通訳して」なんて甘えたかったのですが、それはグッと抑えて、「インタビューさせて下さい」とだけの連絡を入れてのサンフランシスコ到着となりました。

 ■HIV陽性者のケアセンター「UNプラザ」

「じゃ、土曜日の午後は時間があるから、UNプラザで待ち合わせよう。UNプラザにHIV陽性者のためのケアセンターがあるんだよ。そこに行った後、お茶でも飲みながら少し話をしましょう」
 とアポイントメントをいただきました。
 しかし、土曜日だったため、そのケアセンターはお休みしてました。それでは、お話だけでもお聞きしたいと、UNプラザの近くのファーストフード店に場所を移してインタビュー。
 一語一句漏らさずメモしようとしていた僕に、「そんな、インタビューなんかじゃなくてさぁ、おしゃべりしよう」と鬼塚さん。
 インタビューは、一転、楽しい茶話会となりました。

 ■「一人でも多くの人に」

 鬼塚さんは、日本からの看護婦さん達のサンフランシスコでの研修プログラムのコーディネートをしてるとのこと。鬼塚さんがおっしゃるには、本当に大切なのは、サンフランシスコで研修をしたということではなくて、日本へ帰ってから、サンフランシスコ研修時に設定した「日本に帰ってからの目標」を達成できたか、どうか。達成できなかった場合、原因は何かということを考えること。また、サンフランシスコで研修を受けた看護婦さん達が日本で集まって、研修後の日本での報告等を話し合う機会も必要だと言っていました。
 今、サンフランシスコで問題になっていることの一つに、HIV以外にも心身的に問題をかかえている患者が増えているということがあるそうです。特に麻薬患者は、精神的に不安定な人たちが多く、きちんとした服薬の指導ができない。本格的なHIV治療を行う前に、依存症等の問題を解決しなくてはいけない場合が多いそうです。
 最後に「今の日本で僕達ができることって何だと思いますか?」との問いに、
「アウトリーチでしょう。10人にアウトリーチして、1人でも興味を持ってくれたらそれでいいと思うんだよ」
 とおっしゃってました。
 僕が、「なんか、気の遠くなるような、ちょっと虚しい作業ですね」と言うと、
「そうだね、でもやらなくちゃいけないと思うよ。一人でも多く、興味を持ってもらう。一人でも多く、セーファー・セックスをしてもらう。これしかないような気がする。がんばって下さい」
 と、鬼塚さんははげまして下さいました。
 その言葉は、「今、日本で、何をしたらいいのか」と、ちょっと行き詰まっていた僕に、もう一度何かを始めようと思うきっかけをくれました。

 鬼塚さん、お忙しい中、時間を割いて下さってありがとうございました。

[阿部努]


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