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図書紹介
『エイズを100倍楽しく生きる』

山下柚実 

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『エイズを100倍楽しく生きる』

 今年の12月1日、世界エイズデーに一冊の本を出版しました。

「ミョーなタイトルね」「びっくりするなぁ」と何人かに言われました。でも、人の気をひくために特に誇張したわけではありません。薬害の被害にあい、HIVに感染させられエイズを発症している大貫武くんは、しかし日々そうやって生きているんです。「一〇〇倍」元気を出すことで、困難な病状も苦痛も、何とかやり過ごしてしまえ。ちょっとアナーキーな提案がここに詰まっています。

 この本では大貫くんと9人との対話が軸になっています。対話相手は大学生、マラソンランナーの増田明美さん、医師、感染者のたんべくんとその妻のチョコさん、女優・歌手の小泉今日子さんなどなど……なんだか脈略がありませんね。でも、このメチャクチャさがウリだと思っています。この問題は社会の隅々にまで存在している。どんな人とも対話が生まれうるのです。

 そして対話の間にはちょうど映画のメーキング・フィルムのように、この本ができあがっていく道筋を記録しました。いわゆる「楽屋おち」ってやつです。それによってエイズをとりまく状況、社会の枠組み、この病気に対する人々のリアクションが見えてくる、そんな装置を作りたかったのです。

 HIV訴訟は和解協議にこぎつけました。けれどもこれは終わりではなく、まさにスタートです。本当に国や製薬会社が責任をとり問題が解決するということは、薬害の構造をなくすことであり、感染者・患者の人がきちんと医療を受けられるようになることであり、その人らしくのびのびと生きられるようになること。この本では特に、その人がその人らしく生きる、というテーマを意識して作りました。デモに参加したり厚生省に抗議するという形が社会を変えていくのと同時に、たった一人の人間の変化が社会を巻き込み、社会まで変えてしまうことだってある。

 「社会」というのは、私たちの生活の隅々にある、というかまさに私たちそのものだからです。

[山下柚実]

山下柚実さんのホームページ「ユズジャーナル
http://www.yuzumi.com/

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