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東京都議会選挙立候補予定者へのアンケート調査・結果報告


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第13回東京都議会選挙立候補予定者への
アンケート調査・結果報告

1993年6月7日
エイズ/HIV民間ボランティア団体一同

 私たちエイズ/HIVの予防・啓発、患者・感染者の救援、差別偏見の解消等に取り組んでいる民間ボランティア団体です。私たちはいかなる政党・政治団体にも所属しておりません。今回、実施予定である第13会東京都議会選挙に向けて、立候補予定者および各政党に対して、「エイズについてのアンケート」を実施しました。

 調査活動の概要は次のとおりです。

 今回、民間エイズボランティア10団体が協力して、「エイズについてのアンケート」による調査活動を行いました。これほど多くの民間団体が協力してアンケートを行うのは、初めてのことですが、それは、私たちにとって非常に切実な問題であるという意識の表れといっていいでしょう。社会のエイズに対する関心は、ややもすると恐怖・不安感に支えられたセンセーショナルなものに傾きがちです。しかし、患者・感染者にとっては、これから具体的にどう生きていくのかという非常に具体的・日常的な問題です。こうした問題を冷静に考えるきっかけとして、今回の都議会選挙で、広く都民の皆様にエイズについて考える材料を提供できたら、と思います。
 今後、東京都がエイズに関する政策を作るうえで、都議会においてより具体的かつ活発にエイズ問題が取り上げられる必要があります。アンケートの回収率は、約20%でした。民間団体の関心とは裏腹に、立候補予定者のエイズ問題に対する関心は高いとは言えないようです。しかしながら、回答を頂いた方の中には、非常に関心を持たれ、今後のエイズへの取り組みの方向性について具体的に述べていただいた方もおられました。
 回答の傾向ですか、東京都のエイズ対策全般については、一応評価できるいう回答が多く寄せられましたが、一方で恒常的な活動が不十分とする意見もありました。
 評価できる内容としては、広告を用いた予防・啓発活動、夜間検診の実施、高校生用パンフレット等があげられましたが、恒常的に行なう必要性や、回数が少ない等の意見もありました。
 不足している点には、学校現場における教職員に対する講習、保健所検査日の拡大、カウンセリング相談員の充実が多くあげられました。これには、教育資材はあっても、現場で対応する教職員自身の理解と認識が不可欠であること、また、社会の関心の高まりに対し、現状の検査体制では不足していること、また、患者・感染者に対する援助、特にカウンセリング体制の不備等の問題点が、指摘されました。
 今後の課題としては、公立病院における診療体制の充実、ボランティアを養成する講習会の実施、民間団体との協力、資金援助等があげられました。これには、まだまだ、病院の受け入れ体制が圧倒的に不足していること、そして、医療機関だけでなくボランティアの協力によって、患者・感染者の「ライフ」を作る必要性が述べられました。
 また、エイズ(HIV)の抗体検査義務付けや、無断検査の実施については、全ての回答で人権問題であり、容認できないとの認識が示されました。今後、具体的にどの様な対策を講ずるのかが注目されます。患者・感染者に対する救済措置については、感染経路による差別はあってはならないこと、十分な医療保証をはかる必要性が寄せられましたが、具体的な取り組みについてのアイデアは、聞かれませんでした。
 民間ボランティア団体に対しては、差別なき新たな社会理念を築く重要な活動であり、自主的活動の援助が検討されるべきとの意見が多く寄せられました。

 以上が、回答結果の概略です。全般に候補者の「生の声」に乏しく、個人としての考え方が見えにくいものとなりました。一方で、今まで明らかにされることの少なかったエイズ問題への取り組みに対する評価や展望が出され、今後の議論を現実に促す一歩になるものと思われます。


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