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HIV/AIDS講座・研修への講師派遣・講演依頼について
講演スライド例(3) 社会的偏見・差別と社会参加の促進


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社会的偏見/差別:内閣府の世論調査によれば、HIV陽性者への社会的偏見や差別があってはならないという人が84%に達する一方、半数近くの人が、一緒に働くのは好ましくない(言い換えれば、HIV陽性者には消えて欲しい)と回答しています。

事例・警視庁HIV解雇訴訟:HIVを理由にした解雇について少なくとも日本では3つの訴訟が起こされ、いずれも原告であるHIV陽性者が勝訴しています。警視庁=東京都は2003年に敗訴が確定しました。

薬害HIV感染被害者への面接調査結果:社会的偏見/差別は薬害被害者においても、警戒や自主規制が解けない日々を余儀なくさせ、社会的孤立を引き起こしている状況が日本エイズ学会で報告されました。

中島みゆき「ファイト!」:「中卒のくせに」「ガキのくせに」、そして「HIVのくせに」と言われた人たちの主体・主観は傷つき、時として「諦めという名の鎖」によってがんじからめにされてしまいます。

当事者運動の可能性:HIVへの社会的偏見/差別を解消し、HIV陽性者の社会参加を促進していくにはどうしたらよいのでしょうか。HIV陽性者がHIV対策・政策の決定へ参加することの必要性を示したのがGIPA(ジーパ)という概念です。

TOKIO「宙船(そらふね)」:GIPAが意味するものは長瀬智也の歌う「おまえが消えて喜ぶ者におまえのオールをまかせるな」という歌詞に凝縮されているように思えます。社会的偏見/差別の中で「流されまいと逆らいながら、船は挑み、船は傷み」、主体・主観を傷つけられた少なからぬHIV陽性者は「舞い上がるその時を忘れているのか」も知れません。「地平の果て、水平の果て、そこが船の離陸地点」とは、離陸地点が今はどこにも見えない(地平や水平の先は見えない)、しかし必ずあるということです。自らの手で漕いでゆくべき「その船」(あなたの人生)はただの船ではありません。どんな船でしょう? そう、その船はそらも飛べる「宙船(そらふね)」なのです。

障害の次元・要素と3つのアプローチ:(まとめにかえて)国際生活機能分類(ICF)を基に、障害を構造的に捉え各次元へのアプローチの方法を示した図です。HIV陽性者の「参加」制約(社会的不利)を解消していくには、(1)「心身機能」等に働きかける抗HIV療法等のリハビリテーション・アプローチ、(2)「環境」に働きかける啓発活動等のノーマライゼーション・アプローチ、そして(3)「主体・主観」に働きかけ、「その船」が「宙船(そらふね)」であることを思い出して(取り戻して)いくためのエンパワーメント・アプローチという3方向からの取り組みが必要です。


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