特別プログラム(2000年11月16日更新)

■サテライトシンポジウム

 サテライトシンポジウム
  11月29日(水)15:20〜17:20  第2会場(大会議室)
  HIV感染症「治療の手引き」
−HIV感染症治療の現状と課題−

総合司会:
木村 哲 先生
(東京大学大学院 医学系研究科 感染制御学・感染症内科 教授)
満屋 裕明 先生
(熊本大学医学部 感染免疫診療部 免疫病態学・内科学第二 教授)
内容:  
HIV感染症治療の基本事項を記した「治療の手引き」では包括しきれない臨床現場での実際の問題点について討議するパネルディスカッション形式の公開シンポジウムです。 HIV感染症診療に携われている医師をはじめとする多くの医療者にご参加頂き、会場からのご質問・ご意見を交えた活発な討議が出来るようなシンポジウムとなるよう期待しております。

共催
第14回日本エイズ学会学術集会・総会
HIV感染症治療研究会
グラクソ・ウエルカム株式会社



 サテライトシンポジウム
  11月29日(水)16:30〜18:30  視聴覚研修室(東館2階)
  「性的リスク行為への社会的・心理的アプローチとエイズ予防啓発への活用  〜ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルのケーススタディから〜」

主催:
特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会
厚生省エイズに関する普及啓発におけるNGO活用に関する研究−同性間対策NGO研究班

司会: 大石敏寛
(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 副代表理事)
演者:
Joyce Hunter
(HIV Center for Clinical and Behavioral Studies / Research Scientist,コロンビア大学助教授)
内容:  
 HIV感染を成立させる条件の一つである、「性的リスク行為」を焦点化したテーマのもと講演とディスカッションを行う。
 HIV/エイズ分野のリサーチ・サイエンティストであるジョイス・ハンター氏を米国より迎え、長期に渡るフィールドワークのデータから導きだされた、社会的・心理的アプローチによる性的リスク行為の先行研究を発表する。ここでは、性的リスク行為の要因が複雑であることを理解するために、数量的解析では分析しきれない性行動パターンの質的分析モデルを提示してもらい、実際の日本国内での性的リスク行為の分析手法や予防啓発への活用についての討議を行う。
 ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルの思春期のトピックを中心に扱うが、他の集団にも十分応用できるテーマである。
 また、マイノリティのコミュニティと研究者との連携における課題についてもハンター氏は研究しており、その関係性についてもテーマとする予定である。



 サテライトシンポジウム
  11月30日(木)18:00〜20:00  第1会場(テルサホール)
  セローノ サテライト シンポジウム
『Clinical Management in AIDS _ Metabolic Abnormality』

共催:
第14回日本エイズ学会学術集会・総会
セローノ・ジャパン株式会社
総合座長: 東京大学大学院医学系研究科 感染制御学 教授
木村 哲 先生
講演座長:
熊本大学医学部内科第二 教授
満屋裕明 先生
演者:
Donald P. Kotler, MD
St. Luke's-Roosevelt Hospital
Professor of Medicine
Columbia University College of Physicians and Surgeons,
New York, USA
内 容: この十数年の間に世界中に蔓延したHIV感染症/AIDSは、未だその勢いは衰えておりませんが、以前は予後不良であったHIV感染症/AIDSに対する治療法は、ここ数年で飛躍的な進歩を遂げています。しかしながら、従来からHIV感染症/AIDSにおいては蛋白代謝と脂質代謝に異常、すなわち、蛋白異化の亢進と脂肪合成の促進を生じることが知られていました。
本シンポジウムはこのようなHIV感染症/AIDS患者における代謝異常についてアメリカの専門家から最新の知見を総括し、ご討論いただくことを目的としております。



 サテライトシンポジウム
  11月30日(木)16:30〜20:30  第3会場(第1会議室)
  「コミュニティ・ベースのHIV/STD感染予防への取り組み ―当事者、研究者・医療者、行政の協働による感染リスクの低減を目標とした予防介入―」
 講演時間が20分延長され、終了時間が20:30になりました。

 HIV/STDの予防啓発を促進するための官民一体のプロジェクトとして、地域のゲイコミュニティのメンバー、NGO/CBO、厚生省HIV感染症の社会疫学研究班、大阪府・市のエイズ対策担当係で構成するMASH大阪(MASH:Men And Sexual Health)が3年前にスタートしました。コミュニティに向けた講習会、STD勉強会、ベースライン調査等を実施する中で、HIV/STD検査の機会の拡大が必要であることが示され、HIV感染やSTDに目を向け、意識や行動をセクシャル・ヘルスに"SWITCH"(切り替え)しようという予防介入プログラム「SWITCH2000」を、2000年5月に実施しました。ゲイ・コミュニティにおいて、若い世代のMSM(Men who have sex with men)を主な対象に、ゲイ・アート展(SWITCH-A)、HIV/STD(B型肝炎、梅毒)検査と予防相談(SWITCH-B)、コミュニティ対象のHIV/STD感染予防啓発に関する講習会やSTD勉強会(SWITCH-C)、そしてダンス・パーティなどのイベント(SWITCH-D)を行いました。
 HIV検査は医療機関か保健所などの公的保健医療機関で実施されていますが、このSWITCH2000では、検査の場をコミュニティにおき、さらに検査を契機にしたHIV/STD感染のリスク低減を導入することに力点をおいて、検査前予防相談および結果報告時の予防介入を取りいれました。会場設定、移動医療機関の申請、予防相談・検査のシミュレーション、相談員研修、翌日検査結果報告のための検査体制、採血・告知・カウンセリングの専門医療者およびカウンセラーの確保など多くの調整が必要となり、MASH大阪スタッフ、NGO、行政、医療者、研究班の協働があって実現しました。MASH大阪では、今後の予防介入に向けて解決すべき課題等を明確にするために、SWITCH2000、特に予防相談・検査の実施内容を整理しています。
 シンポジウムでは、MASH大阪が実施したコミュニティにおけるHIV/STD感染の予防相談・検査を紹介し、疫学研究者、保健医療従事者、行政、NGO/CBO、等々の多分野の参加者と意見を交換し、わが国におけるHIV/STD感染予防の進展に向けた連携を推進したいと考えています。皆さんの参加をお待ちしております。

1.参加対象/参加費:
HIV/STD感染予防に関わっている方なら誰でも / 無料
2.主 催:
MASH(Men and Sexual Health)大阪、厚生省HIV感染症の社会疫学研究班MSMグループ
 事務局: コミュニティ・ベースのHIV感染予防の取り組み・シンポジウム実行委員会
代表:市川誠一(神奈川県立衛生短期大学)
〒241-0815 横浜市旭区中尾1-5-1
TEL045-361-6141(551)  FAX045-362-8785
3.プログラム(タイトル、発表者については変更する場合があります)
 進 行:
山元泰之/東京医科大学、木村博和/横浜市立大学医学部
 第1部(16時30分〜18時40分)
 
1)
HIV感染予防と協働プロジェクト−地域におけるHIV感染予防と検査のニーズ
10分
    市川誠一/神奈川県立衛生短期大学  
 
2)
コミュニティベースでのとりくみ/SWITCH2000−SWITCH2000のねらいと実施までの道のり
35分
    鬼塚哲郎/MASH大阪/京都産業大学  
 
3)
予防相談・検査の流れと検査体制
15分
    大屋日登美/神奈川県立衛生短期大学  
 
4)
検査前の予防相談を実施して
25分
    鬼塚直樹/CAPS・UCSF  
 
5)
インフォ−ムドコンセントから告知まで/体制のあり方
20分
    市橋恵子/在宅看護研究センター  
 
6)
検査結果の告知と告知後の予防介入
 
    日笠 聡/兵庫医科大学
10分
    北村 浩/MASH大阪
10分
    休憩
10分
 第2部(18時50分〜20時30分)
 
7)
受検者層と検査結果の概要/今後の課題
25分
    市川誠一/神奈川県立衛生短期大学  
 
8)
コミュニティへのフィードバック
10分
    岡本 学・松原 新/MASH大阪  
 
9)
コミュニティと医療の協働プロジェクトとしてのSWITCH2000
10分
    佐藤知久/京都大学大学院  
 
10)
総合討論
30分
 
11)
シンポジウム総括
 



 サテライトシンポジウム
  11月30日(木)15:00〜18:00  視聴覚研修室(東館2階)
  「アメリカ/アフリカー南北AIDS事情 :今何を?」

  演題名 講者名
1) リポデイストロフィとHAART Donald P. Kotler,M.D.
(コロムビア大学、St.Luke's-Roosevelt Hospital Center、消化器内科)
2) 米国における新抗HIV治験薬状況 稲田頼太郎
(コロムビア大学 St.Luke's-Roosevelt Hospital Center, リュウマチ内科)
3) ケニヤ、ナイロビでのMedical Camp 報告:その1 内海  真
(国立名古屋病院、血液内科)
4) ケニヤ、ナイロビでのMedical Camp 報告:その2 谷口 晴記
(三重県立総合医療センター産婦人科)

主催: New York HIV 研修連絡会議
協賛:
イナダ−ラングエイズ研究財団(Inada-Lange Foundation For AIDS Research=ILFAR)
内容:  
1996年以降、米国、ヨーロッパなどの開発国では新抗HIV薬の登場により、驚異的にHIV感染に対する延命効果が現れるようになり、慢性病の仲間入りをしつつあるといっても過言ではない状況である。しかし、新薬の登場による種々の問題点も時間の経過と共に現れてきた。長期服薬におけるAdherenceの問題、耐性株の出現、薬剤による副作用、薬剤変更の時期的問題点、HIV感染に対する軽率な安心感、新開発薬剤に対する期待感と不安感、などである。これは富める国にしか起きていない問題点である。しかしながら,発展途上国といわれる国々では、この新薬の恩恵すら受ける事の出来ない惨状である。これらの国々の感染者、患者は1980年代の初期の薬剤のなかったアメリカのAIDS状況よりも更に悪いといえるのではなかろうか。
本シンポジュームでは、日本でも抱えるだろう北の国のテーマとしてのHAARTによる脂肪代謝異常、治験薬の開発状況に対し、南の国のテーマとしてHIV感染予防との比較において、今何が出来るのかを考えていきたいと思います。