第13回日本エイズ学会学術集会・総会報告書

報告書
決算報告書

第13回日本エイズ学会学術集会・総会の報告書

第13回日本エイズ学会学術集会・総会会長
                                根岸昌功

主催:第13回日本エイズ学会学術集会運営委員会

共催:財団法人国際協力医学研究振興財団

後援:東京都、北区、財団法人エイズ予防財団

日時:12月2日(木)、3日(金)、4日(土)

会場:北とぴあ、東京都北区王子
   発表会場;四会場(さくらホール、つつじホール、飛鳥ホール、展示ホール)
   集会場;三会場(第2研修室、901会議室、902会議室)

入場者数:有料入場者数 973
     公開講座入場者数 270〜300

運営:第13回日本エイズ学会学術集会運営委員会
   ・会合は四回

根岸昌功、増田剛太、 味澤篤、 今村顕史、 堀成美、梁瀬有美子、鎌倉光宏、小柳義夫、西田恭治、樽井正義、池上千寿子
臨時委員:宮沢豊

公告:

事務局を東京都立駒込病院内に置き、インターネットホームページ(NGOの協力で開設・更新した)を利用した。

目標:

  1. 議論のできる集会
    ・十分な時間を確保するために、重点セッションを設けた。
    『女性、母子感染』 宮澤豊、池上千寿子
    『耐性ウイルス』  満屋裕明、木村哲、宇宿秀三
    『外国人医療』   沢田貴志、高山俊雄
  2. 社会科学面の充実・振興
    ・重点セッションでは、基礎医学・臨床医学・社会科学を同じセッションに入れ、相互に理解・議論できるようにした。
    ・地域医療システム構築に関してのイメージを求めた。
    ・ 市民公開シンポジウムでは、参加者が家庭・職場・学校に話題を持ち帰
    れるような集会にした。
    ・メモリアルキルトの集合・交歓、展示

演題編成:第13回日本エイズ学会プログラム委員会
   ・準備会は数回、会合は一回

有馬美奈、岩本愛吉、内山卓、岡慎一、折津礼子、神奈木真理、木原雅子、木原正博、木村哲、小柳津直樹、桜井賢樹、沢田貴志、塩田達雄、高橋秀実、武部豊、田中勇悦、永井美之、野々山未希子、本多三男、松田重三、村上未知子、村瀬幸浩、山中京子、山本直樹、山元泰之、吉原なみ子(五十音順、敬称略)と各運営委員
・同一施設、同一分野の演題応募の場合、内容を吟味し、なるべく演題をまとめていただくよう協力をお願いした。

発表演題:

  • 一般発表演題数 269
  • 特別招待講演
    「HIV地域医療システムを考える」 Julian Gold、Lindsay Sales、Reiko Honma
  • 特別教育セッション
    「症例から学ぶHIV感染症診療のコツ」 Robert Schooley、Constance Benson
  • サテライトシンポジウム
    「日本のHIVカウンセリング−その10年の歩みと今後の課題」
      HIVカウンセリング・シンポジウム企画・実行委員会
  • イブニングセミナー
    「最新のHAART療法」 John Pottage
    「Wasting,Metabolism and Altered Body Shape in HIV/AIDS」 Nicholas Paton
  • 公開シンポジウム
    「HIV感染症『診療の手引き』−1999年改訂版」 HIV感染症治療研究会
  • 市民公開シンポジウム
    「エイズから教わること・教えたいこと」 村瀬幸浩、池上千寿子
  • 日本−ブラジル共同シンポジウム
    「滞日ブラジル人の社会とHIV/AIDS」 厚生省HIV疫学研究班、CRIATIVOS
  • 分野:

    ・境界分野も多く分類が困難で、無理があった。
    ・重点セッションは分野を超えてまとめた。
  • 基礎医学 101題;(分子疫学、アクセサリー遺伝子、感染メカニズム、ウイルス変異、抗ウイルス剤、検査方法・検定・意義、動物モデル、ワクチン、感染防御、感染免疫、免疫・病態)
  • 疫学 12題;(疫学、分子疫学)
  • 臨床医学 61題;(合併症、診断、新HIV薬、治療成績、服薬アドヒアランス、副作用)
  • ケア 18題;(看護、栄養、在宅療養、連携、ニーズ)
  • 政策 9題;(医療体制・拠点病院)
  • 心理・社会 17題;(カウンセリング、ソーシャルワーク)
  • 教育・啓発 17題;(プログラム、研修、予防教育、態度・意識調査、感染者の役割)
  • 活動報告 3題;(NGO実践報告、ネットワーク)
  •   <重点セッション>

  • 女性・母子感染 7題;(基礎医学、診断、母子感染予防、心理、女性)
  • 耐性ウイルス 20題;(基礎医学、検出技術、分布、臨床医学)
  • 外国人医療 5題;(受診状況、ニーズ、ケア、支援、知識・行動)
  • 総評:

    1. 多分野から多くの参加者があり、議論の時間的余裕と会員の交流の時間とがある程度確保できたが、分野を越えた会員交流・意見交換が十分にできたかに疑問が残った。各会員の更なる努力も待ちたい。
    2. 応募された演題の採否をプログラム委員会で決定した。内容を吟味し、適否を決めることは、発表内容の質の保障をすることであり、今後も続けるべきであると思う。
    3. 重点セッションのうち『耐性HIV』をポスターセッションとした。口演と違い、長時間研究成果が展示されるため、討議の時間が多く取れ、好評であった。特に優れた研究成果や強調すべき内容に関してはポスターセッションを充実させるのがよいと思う。
    4. 一部、特に社会科学面での発表の科学性に疑問が残った。社会科学の方法論を検討し、充実させる必要を感じた。
    5. 演題発表・質問・討議のルールを守れない例があった。主旨を明確に発表すること、冷静に質問や意見を述べること、主旨を正確に把握し応えることなどがルールであり、必要なら予演会などを行うべきである。また、冷静に議論する場での感情的な言動は学会のマナーに反する。十分な反省を求めたい。
    6. 抄録集の予備配布数が少なすぎた。また、価格が適切かを再検討する必要があると思う。
    7. 集会でのNGOの処遇は、学術集会長の裁量で決められてきた。このまま、その位置付けが不明確でよいのだろうか、疑問が残った。
    8. アッピール文:(重点セッション「外国人医療」参加者一同から以下のアッピール文が学術会長あてに出されたので全文報告する。)

     現在、日本で発病するエイズ患者のうち外国人の占める割合は18.8%と極めて高い状態が続いている。中でもアジア・アフリカ・ラテンアメリカ出身のニューカマー外国人に、健康保険非保持者の割合が高いことが明らかとなっている。こうした人々は、言語上の障害や経済的な障壁のために、予防の情報入手や医療機関へのアクセスが困難となっており、このことが感染によりさらされやすい状況を作り出していると考えられる。
     今回、本学会で発表された多くの報告からは、言語に困難のあるニューカマー外国人や健康保険非保持者において、受診の遅れ、死亡率の上昇など、多くの問題が山積している事実が明らかとなった。これらのことを深刻な問題として受け止めたいと思う。
     HIV対策の推進のためには、感染にさらされやすい人々に対して、人権を尊重し、医療へのアクセスを保証していくことが不可欠である。事態の深刻さに鑑み、今後行政・医療機関・NGOなど全ての関係機関が、こうした人々のおかれた困難な立場を配慮し、最大限の手を差し延べる事が急務である。とりわけ、医療へのアクセスのための次のことを行政によって早急に検討されることをアッピールするものである。
     (1) 通訳制度の創設
     (2) 医療保障の確保

    1999年12月4日
    第13回日本エイズ学会 外国人セッション参加者一同



    第13回日本エイズ学会学術集会会計報告

     多くの方々にご参加いただいたことにより、赤字にならずに済みました。
     また、事後処理の費用の他に、社会科学系の研究ないし、企画のための費用として第14回の学会に繋ぐことができましたことを報告いたします。

    収支決算報告書
    学会開催日:平成11年12月2日〜平成11年12月4日
    (平成12年2月1日現在)

    経理責任者 氏名: 根 岸 昌 功
    所属機関: 東京都立駒込病院感染症科
    TEL: 03‐3823‐2101
    FAX: 03‐3824‐1552

    <収入>

    費  目

    金  額

    備  考

    学会事務センター

    \500,000

     
    寄付

    \5,776,000

     
    機器展示

    \899,160

    150000*5、149160
    書籍展示

    \40,000

    40000*1
    抄録集(会場販売分)

    \461,500

    6500*71
    抄録集(事務局販売分)

    \300,300

    6825*44
    助成金

    \300,000

     
    参加費

    \6,811,000

    7000*973
    利息

    \688

     
    合計

    \15,088,648

    ―(1)

    <支出>

    費 目

    金 額

    備 考

    通信費

    \150,340

    通信費I〜IX
    印刷費

    \1,259,742

    印刷費I〜IV
    文具費

    \463,488

    文具費I〜III
    会議費

    \237,611

    会議費I
    手数料

    \2,730

    手数料I
    招聘費

    \881,800

    招聘費I
    謝礼等

    \801,940

    謝礼費I
    人件費

    \1,841,480

    人件費I1〜13
    雑費

    \127,569

    雑費I〜III
    会場費

    \809,700

    会場費I
    会場運営費

    \4,954,848

    運営費I
    社会科学振興費(第14回学会)

    \2,500,000

    振興費
    その他

    \450,497

    その他I
    研究費

    \606,903

    合計

    \15,088,648

    ―(2)